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「ミルク捨てたくない」子ども食堂へバター、SNSで啓発も 豊頃・士幌の酪農家

Jリードの井下代表

 年末年始に生乳が大量に余る見通しの下、豊頃町や士幌町の酪農家が可能な限り廃棄を避けようと奮闘している。バターを道内の子ども食堂に配布するほか、SNS(交流サイト)で牛乳の消費促進を呼び掛け、無駄にしないよう啓発する。消費が落ち込み、在庫が積み上がる砂糖やコメと一緒に海外へ支援物資として送ろうと奔走、送料をクラウドファンディングで賄おうと準備を進めている。(高田英俊)

 豊頃町の農事組合法人Jリードや同町内の山口牧場、士幌町の川口牧場は、加工処理しきれない生乳5000トンを廃棄するのは「食品ロス削減やSDGsをうたう世の潮流に逆行している」(Jリードの井下英透代表)と結束。生乳の出荷先である乳業メーカーからバターを買い取り、こども食堂北海道ネットワーク(加盟登録91団体)を通じて全道に配る。数百個規模となる数量を現在調整中で、今週内にも配布を始める。

井下さんが自身のフェイスブックに投稿した「ミルクチャレンジ」運動。著名人らが呼応して、ミルクを無駄にしない意識を醸成できればと願う。

 SNSでも井下さん(63)は20日、まず自身のフェイスブックから、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療研究支援を目的としたチャリティー運動「アイスバケツチャレンジ」ならぬ、「ミルクチャレンジ」を提唱。腰に手を当てて牛乳を飲む姿を発信するもので、「北海道ゆかりの著名人につながって関心を呼べたら」と拡散に努めている。

 国内外の多方面へ協力を呼び掛ける中で、コメや砂糖の業界関係者らともつながり、海外への支援物資として送るために、送り先が整えば、クラウドファンディングで資金を調達したい考え。

 井下さんには2006年に大量の余剰生乳を廃棄した苦い経験がある。酪農4戸でJリードを設立した翌年に当たり、生産拡大の責任を負うつもりで、札幌駅前で協力者らとバター2000個、東京・有楽町の北海道発信拠点「北海道どさんこプラザ」で牛乳を配った。それでも当時は数百トン規模の生乳を捨てざるを得なかった。

 生乳の余剰の一因は「コロナ禍による業務用の落ち込み。訪日客が消えて、菓子の原料となる脱脂粉乳の消費も減った」と井下さん。「生産者として何ができるか、すべきか。微力でも指をくわえて見ているわけにはいかない」と本格的な冬が到来する十勝で汗を流している。

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