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「この経験を日本のチーズの発展に役立てたい」フロマジェ世界3位の長原さん、意欲新た

華やかに盛り付けられたプラトーと長原さん(長原さん提供)

 【芽室】チーズの専門家「フロマジェ」の世界大会で3位に入賞した、芽室町のナチュラルチーズ製造販売「TOYO Cheese Factory」の長原ちさとさん(44)。初出場での栄誉に驚きながらも、「この経験を十勝・北海道、日本のチーズの発展に役立てたい」と思いを新たにしている。

 大会は9月13日にフランスで開かれた「第5回世界最優秀フロマジェコンクール2021」。7カ国から9人が出場し、筆記試験、外皮を除いたチーズを食べて種類や熟成期間などを答える「ブラインドテイスティング」、食べ合わせを提案する「マリアージュ」など、チーズの知識や技術を問う九つの課題で審査を受けた。

 十勝のチーズ文化発展を期して大会に臨んだ長原さんは、スピーチテストでは管内複数の工房が共同で製造している「十勝ラクレットモールウォッシュ」を英語でPR。審査員から「日本のチーズを食べる機会がないのでうれしい。きれいな作りで、味もクリア」と好評価を得た。

世界大会で獲得した銅メダルを手にする長原さん。背景は折り鶴の形にカットしたチーズ

 チーズの盛り付け技術を競うプラトーでは、テーマの「チーズ・パフュム(香り)」からインスピレーションを得た、今年で誕生100周年を迎えるフランスの香水「シャネル5番」をコンセプトとした。日本から持ち込んだ黒ベースのディスプレー台や食器に、丁寧にカットしたチーズを華やかに盛り付けた。フランス文化への敬意を示す一方、最後の彫刻の課題ではチーズを日本らしい折り鶴の形にし、コロナ禍の収束を願う気持ちを表した。

 TOYO Cheese Factoryは、東陽製袋(芽室)が経営多角化のため昨年立ち上げた工房。長原さんの夫で社長の覚さんが10年ほどかけて構想を練る中で、事業化に向けて長原さんにチーズの勉強を依頼。長原さんにとってチーズはそれまで食べて楽しむ物だったが、一念発起して15年に「チーズプロフェッショナル」資格の勉強を始めた。

 そこから「チーズの魅力にどっぷりはまった」という長原さん。同資格やチーズ検定講師に続き、19年には日本チーズアートフロマジェ協会公式認定資格の「フロマジェ」を道内第1号で取得。学び始めて5年余りで、国内大会での優勝を経て世界の舞台へ駆け上った。「(表彰式では)順位は気にならず、やり切ったというすがすがしい気持ちだった」と振り返り、「人間的にもリスペクトできる各国の選手たちと同じ舞台に立てたことが財産」と話す。

 大会は2年に1度で、今回はコロナ禍を受けて規模を縮小して開かれた。長原さんは「コロナ禍で渡航も困難な中、無事に大会を終えて帰国できたのも、温かく応援してくれた全ての関係者のおかげ」と感謝。「フロマジェの立場から、チーズだけでなく十勝の食材の魅力を広めていきたい」と語る。(丹羽恭太)

関連写真

  • 世界大会で獲得した銅メダルを手にする長原さん。背景は折り鶴の形にカットしたチーズ

    世界大会で獲得した銅メダルを手にする長原さん。背景は折り鶴の形にカットしたチーズ

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