「浦幌木炭」で火入れ式、炭焼き100年の歴史継ぐ
【浦幌】浦幌で100年の歴史を誇る炭焼きの事業を引き継いだ町内の背古円(まどか)さん(40)が、自身が代表取締役となって株式会社「浦幌木炭」(北町16)を立ち上げた。1日には開業の“一番炭”の火入れ式を行った。
同社は9月1日に創業。従業員に金澤秀泰さん(59)を迎え入れた。金澤さんは音更町役場に勤めていた頃、同町長流枝にあったキャンプ場の炭窯で炭焼きを行った経験があり、伝統を次代につなぐ一助になればとこの世界に飛び込んだ。
また、この場所で製炭業を営んできた職人の佐藤行雄さん(69)も技術指導として残り、炭窯の温度管理などサポートに徹する。
火入れ式には関係者約20人が出席した。
まず、佐藤さんがトラクターに取り付けた機械を動かしてミズナラを割り、二輪車に載せて炭窯に運んで立て込みを行う一連の流れを説明した。続いて神事と火入れ式に移り、背古さんと佐藤さん、水沢一広町長の3人が木炭に着火し、炭窯に点火した。
あいさつでは、水沢町長が「大正10年ごろから続く歴史ある取り組み。今後も利用者に喜ばれる木炭製造を続けてほしい」と期待を込め、背古さんは「良質な木炭を多くの人に広めていけるように頑張りたい」と決意を述べた。佐藤さんは「後継者が見つかって本当によかった。何とか利益が出るように頑張ってほしい」と話していた。
この日は帯広市出身の彫刻家板東優さん(69)らも同席。背古さんの構想では、5年ほど未使用となっている炭窯を活用し、芸術作品の振興に加え、地元の子どもたちや観光客に炭焼きを体験してもらう場として提供することを思い描いている。(小縣大輝)