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走れ!いきなり団子 熊本地震で実家被災 キッチンカーで地元応援する山口さん夫妻

いきなり団子を販売するキッチンカーと山口さん夫妻。「熊本に興味を持つきっかけになれば」と話す

 熊本県の郷土おやつ「いきなり団子」のキッチンカーが、十勝を走っている。販売に当たるのは同県出身の元自衛官で、2016年の熊本地震で実家が被災した山口斉さん(57)=帯広市。故郷を応援したいと、退職後に妻の千文さん(57)と一念発起し、熊本の魅力を発信している。

 山口さんは19年3月、帯広駐屯地を最後に陸上自衛隊を定年退職した。在職中はヘリコプター操縦士として、雲仙・普賢岳の大火砕流や有珠山噴火など災害派遣にも従事。熊本地震の際は佐賀県目達原(めたばる)駐屯地から支援に向かった。

 両親や弟が住む実家は震度7の地震に2度見舞われた益城町にあった。幸い家族は無事だったが、家は全壊。風呂場の壁は壊れ、家の中はぐちゃぐちゃに。天井には、たんすがぶつかった跡もあった。

 震災前は退職後に帰郷したいとの思いがあった山口さんだが、被災を受けて諦めた。現在、高齢の両親は帯広に移住し、弟は熊本の復興住宅で暮らしている。被災した故郷の支援活動に当たる中で、「熊本のために何かしたい」と考えるようになった。

「あずき」「栗」など8種類を販売している「いきなり団子」

 退職後の昨年4月、家族と相談して始めたのがキッチンカーだった。販売する「いきなり団子」は熊本では各家庭で親しまれ、同じく熊本出身の千文さんともどもなじみ深い郷土のおやつ。「いきなり」は熊本の方言で「簡単、手軽」などの意味がある。突然の来訪でもすぐに作ってもてなせるよう、生のサツマイモと粒あんを小麦粉の生地で包んで蒸したもので、手土産にもなる。

 店名は「きなっせ」で、やはり熊本の方言で「こっちにおいで」の意味。十勝ではなじみの薄いいきなり団子だが、ほぼ毎日の営業やSNSなどを通じて徐々にファンが増えてきた。十勝在住の熊本出身者とのつながりもできた。

 コロナ禍もあり、熊本には地震以来、帰れていない。それでも店に募金箱を置いたり、熊本城の再建に寄付したりと、十勝からできることで支援する。

 いきなり団子は現在、「あずき」「栗」「あんバター」など8種類を扱い、1個180~220円。山口さん夫妻は「益城はまだ役場も仮の状態で、復興住宅も完全にできたわけではない。いきなり団子を通じて熊本を知ってほしい」と話している。

 出店情報はフェイスブックで。問い合わせは山口さん(090・9431・0629)へ。(松田亜弓)

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