世界に共生社会を発信 札幌・五輪会場でアイヌ舞踊
【札幌】東京五輪の競歩とマラソンの会場になっている札幌の大通公園で5日、大会公認プログラムのアイヌ舞踊パフォーマンス「ウポポ ヤン リムセ ヤン」(唄いましょう、踊りましょう)が行われた。帯広カムイトウウポポ保存会のメンバーなど道内から集まった76人が踊りや歌を通して、世界に多文化共生社会を発信した。
競歩男子20キロの開始1時間前に行い、約40分間にわたって道内各地に伝わる歌や踊り計15演目を披露した。帯広に伝わる「サルキウシナイ」(風景、情景の踊り)と「エリリムセ」(農耕、豊年祈願の踊り)、幕別の「イフンケ」(子守歌)も盛り込まれた。
総監督を務めたのは帯広カムイトウウポポ保存会の創設者の一人、加藤ナミエさんの孫・秋辺デボさん(釧路市阿寒町)。秋辺さんは「全ての人、山、獣、空気に感謝し、世界中の人の心がつながり平和を目指すというオリンピック憲章と一緒の根っこでつながっているのだという思いで舞台を務める」と語った。
無観客となったが踊りは国内外に中継。帯広の酒井学さん(44)、真理さん(40)夫婦も「サブリーダー」を務めた。学さんは「魂の入ったパフォーマンスができた。地域の垣根を越えて一体感が生まれ、体の内側から踊れた」と達成感をにじませた。
同パフォーマンスは8日まで、競歩とマラソンが行われる1時間前(一部除く)に行われ、延べ約250人が出演する。7日は午前6時、8日は午前6時から。ユーチューブチャンネル「ウポポイ民族共生象徴空間」でライブ配信される。(松田亜弓)