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農に向き合う~農業経営部会会員紹介「芽室・堀井農場」

「安全、安心、おいしい」の見える化にこだわる堀井さん

1.3代目としてパプリカの生産も取り入れる
 芽室町のほぼ中心地で、小麦、ジャガイモ、ビート、グリンピース、枝豆、キャベツ、スイートコーン、小豆、大豆、カボチャのほか、施設野菜としてパプリカ、ナス、オクラ、ナンバン、ゴーヤなどを生産する。耕作面積は約38ヘクタール。

 捕鯨船の機関士をしていた初代の祖父・堀井正己さん(故人)が、横浜で祖母・ハル子さん(故人)と結婚後の1942年、ふるさとの芽室に戻り、小豆、大豆、小麦、ジャガイモ、ビートなどを生産する基礎を作った。

 2代目の父・恒憲さん(79)も畑作専門農業を営み、2006年に継承した和宏さん(48)が3代目。新規作物として野菜の生産を導入し、パプリカなどの生産も取り入れた。

2.「なまら十勝野」を同志と設立
 堀井さんが、JAめむろ青年部長をしていた30代。畑作物の品目ごとの価格安定対策を廃止し、一握りの「担い手」に絞って所得の減少に対する補てん(直接支払い)を行う「品目横断的経営安定対策」が、導入される動きと重なった。

 「努力しても報われない政策」と感じた堀井さんは、JAめむろ青年部の研修で旭川などを訪問。「(作物を実際に消費する)エンドユーザーの存在が見える農業の必要性を感じた」という。

 生産した作物を消費者にしっかりと売る。そのためには法人化が必要。そうした思いを抱いた同志13戸で、2016年に「おいしい野菜を作りたい」をコンセプトにする生産者グループ「なまら十勝野(とかちや)」を設立。現在も取締役として、肥沃な十勝平野で育んだ作物を全国に届ける活動を進める。

3.「安全、安心、おいしい」の見える化
 自身の営農へのこだわりは「安全、安心、おいしい」の見える化だ。「安全」については、農作物の安全と環境保全、持続可能な農業経営を確立している農場に与えられる認証・JGAPを取得。農場と生産物の見える化にも努めている。

 また、「安心」では、対面販売となる地域の直売所や「なまら十勝野」などを通じて、消費者と積極的に交流。安心感の醸成にもつなげている。

 そして、「おいしい」は「栄養価の高い機能性野菜の生産を目指す」と設定。微生物や有機物が豊富な環境を作るだけではなく、一部の野菜は、研究機関による成分分析で栄養価を示すなど、消費者の視点に立ったおいしさも追求する。

4.「農業や食通じて世界を笑顔に」
 「自分が知らない環境の中で、挑戦し続けている方々とお話し、勉強する機会が欲しかった」と話す堀井さんが、同友会に入会したのは2012年。

 活動を始めると、「(各会員が)チャレンジしている姿に感動するとともに、わくわく感が止まらなかった」という。各会員が、それぞれ違った環境の中、プラス思考で動く。得るものの大きさは「会員にならないと分からない」と笑う。JGAPや、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」の浸透は、堀井さんが同友会でも最も力を入れる活動の一つ。農業経営部会の幹事としても内外に浸透を図っている。

 戦後の貧しい生活環境の中、苦労しながら畑を切り開いた祖父母に父母、そして、十勝の大地の恵みにも感謝する日々だ。だからこそ、持続可能な農業を続けるとともに、「安全・安心で環境に優しい農業を次世代に引き継いでいくのが使命」と話す。

 新型コロナウイルスの流行で、先が見えない時勢が続く。「農業や食を通じて世界を笑顔にできれば。ちょっと過ぎる夢ですが…」。その実現に向けて、「なまら十勝野」や同友会でつながった仲間たちと、少しずつでも着実に歩む。


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