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チセ作りで教育効果を ハポネタイが7年ぶり活動再開

「ハポネタイ」の活動を再開し、都内でアート展を開く惠原さん(左)。右はsayoさん

 【東京・清水】清水町旭山の森が拠点のアイヌ文化発信プロジェクト「ハポネタイ」は28日から都内でアート展を開き、7年ぶりに活動を再開した。今後はアイヌの伝統的住居「チセ」作りの体験を提供する予定で、プロジェクトを進める帯広市出身の惠原詩乃さん(都内在住)は「アイヌ文化を通し、教育や福祉に関われる場にしたい」と構想を語る。

 ハポネタイはアイヌ語で「母なる森」の意味。惠原さんの母るみ子さんが2006年に清水町・剣山の麓に約5ヘクタールの森を取得し、拠点を設けた。惠原さんと共に09年から、アイヌ関連のアート展やライブ、チセ作りなどを実施。13年で活動を休止し、拠点は売却する方針だった。昨年、清水町が活用に関心を示したことをきっかけに自分の気持ちと向き合った惠原さんは「拠点を残し、やりたいことに取り組みたい」と活動再開を決意した。

 拠点での活動再開は来年からの予定で、野生動物が多く、断水時には雪を溶かして使うこともある不便な環境を生かす。木材の重さを実感でき、木の皮をゆがき、ひもにするなど、先人の知恵を体験できるチセ作り体験を活動の中心に据える。「都会とはまったく違う体験。心のリセットができ、自然に生かされていると感じる。アイヌ文化や自然体験を基に自分と向き合うことで、今後の人生に生かせる要素がある」(惠原さん)と教育的効果を期待する。チセは数棟作り、村のようなコミュニティースペースを整備する計画。

 そのほか、アイヌや障害者アートの展示、ポストコロナを見据えたアイヌ語やアイヌ舞踊のオンラインワークショップも展開する。惠原さんは「清水町や地元の人と連携し、持続可能なハポネタイにしてきたい」と話す。惠原さんはアイヌとして踊りや歌の披露、講演会などでアイヌ文化を発信している。

 アート展「ハポネタイとアイヌアート展」は、都内中央区のギャラリーモーツァルトで10月3日まで。野外ライブやチセ作り、集いの無事を神に祈る伝統儀式「カムイノミ」などハポネタイの軌跡を写真で紹介。ハポネタイのロゴを制作したイラストレーターsayoさんの作品も展示している。ハポネタイの問い合わせは惠原さん(unukaran@gmail.com)へ。(池谷智仁)

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