ウチの猫がモデル 本できたニャ 音更の木村色吹さん 10日発売
小説家志望⇒ネット投稿⇒出版オファー⇒児童書に
【音更】音更町の木村色吹(いぶき)さん(39)=ペンネーム=による児童書「ベランダの秘密基地~しゃべる猫と、家族のカタチ~」が10日、KADOKAWA(東京)から出版される。インターネット上に投稿した小説が、児童書として出版に至った珍しいケース。中学時代から憧れていた書籍化の夢をかなえ、木村さんは「驚きとうれしさでいっぱい」と話している。
同書は、夏休みの終わり頃、主人公の男子高校生が飼っている2匹のネコが言葉を話すところから物語が動きだす。ベランダの秘密基地を拠点に、同じクラスの、気になる女子生徒と動物たちが言葉を交わす謎を解明していく内容。
作中で登場するネコは木村さんが自宅で飼う2匹の雌ネコがモデル。「大好きなネコがしゃべったらなあ」(木村さん)と空想が膨らみ、そこから男女の甘酸っぱい青春や家族との絆などを織り交ぜた、中学生向けの青春ストーリーが出来上がった。
この作品はもともと、小説家を目指す人向けのサイトに、木村さんが2018年12月から19年4月まで投稿した。たまたま出版社の目に留まり、サイトを通じて書籍化のオファーがあったという。編集担当者からは「家族についてや思春期の子どもたちの描き方が魅力的。家族の関係と主人公の心情描写もリアルで、しゃべる動物がかわいい」と高い評価を受けた。
木村さんは中学校(幕別中)時代に「授業で書いた詩が先生にとても褒められた」ことがきっかけで、小説家を夢見るように。北海道ホテル(帯広)に勤務していた10年前、短編小説公募の「郷土作家アンソロジー」に初めて応募し、処女作である「図書館」が入選した。
退職した17年からサイトで本格的な執筆活動を開始し、足掛け3年。「年齢的にも書籍化の夢を諦めかけていた。連絡が来た時は隣にいた主人と泣いて喜んだ」とし、「学校にも本を置いてもらい、多くの子どもたちが手に取って読んでくれれば。今後も創作意欲を持ち続けながら、さまざまな作品を生み出したい」と話している。
B6判、272ページ。1000円(税別)。全国の書店やインターネット通販大手のアマゾンで予約を受け付けている。(小縣大輝)