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帰省、悩んだ末に コロナ持ち込む不安 オンライン帰省も

ロビーに到着した羽田空港からの搭乗客ら。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、楽しみと不安を感じながらの帰省や旅行となりそうだ(8日午前9時45分ごろ、とかち帯広空港で)

 お盆の帰省シーズンが始まった8日、空港や駅にはスーツケースを手にした帰省客らが降り立った。全国的に新型コロナウイルスの感染者が増加している中、やむなく帰省を自粛した人、悩みながらも帰省した人など判断はさまざま。帰省客は楽しみと不安を抱えながらも、感染防止対策を講じてお盆休みを過ごす。

 8日午前9時半ごろ、とかち帯広空港では家族らが搭乗客を迎えた。母親が迎えに来た帯広市出身の会社員男性(21)=都内在住=は「コロナの感染者が落ち着いていた頃に予約していて、最後まで悩んだけど…キャンセル料が掛かるのも大きかった」と話す。

「都民は敬遠?」
 通勤電車では混んでいる車両を避けるなど感染対策に気を配るが、「自分がもしかしたら無症状なだけかも」との不安はある。帰省中は「人混みは避けて過ごしたい」と話す。

 60代夫婦=都内在住=の夫は「娘に会いに来たが、春に来る予定だったのが延びていた」という。来るかどうか悩んだが、「これ以上延ばしてもいつ会えるか分からない。お盆の連休時期に合わせて来ることにした」と事情はさまざまだ。

 同じ便には多くの旅行者もおり、道東を旅行する都内在住の50代夫婦は「東京の人が来るのは嫌がられるのでしょうか」と不安を口にする。公共交通機関を使わずレンタカーで移動し、登山などアウトドアを楽しむ予定。「どこにも行けないのはつらい。最大限気を付けて過ごします」とレンタカーの手続きに並んだ。

拡大やまず
 一方、帰省を自粛した人も。帯広市出身の会社員高田伸敏さん(55)=都内在住=は、3年ぶりの帰省を予定していたが、東京の感染拡大が収まらないため見合わせた。「コロナ禍の心配もあり、帯広で暮らす70代の母親の顔を見たかった。だが、ウイルスを持って行ってしまう危険性がある」と複雑な心境を明かす。

 勤務する広告代理店はリモートワークを推奨し、不要不急の出張や夜の会食を控えるよう方針を出した。プライベートの移動に制限はないが、東京の置かれている状況から、今は帰省すべきではないと判断した。お盆期間は自宅で過ごし、「家族と出掛けるにしても奥多摩などの都内になる。他県に行っても歓迎されないだろう」と話す。

 中札内村出身の漫画家中川学さん(44)=都内在住=も帰省を自粛した。毎年のようにお盆前後は実家に戻り、墓参りや70代の母親の様子を見ていたが、4月に緊急事態宣言が出た時点で断念した。「暑さも避けられるので本当は帰りたかった」が、家族への感染リスクを考慮した。夏場は都内から出る予定はなく「密になることがない、自転車移動が基本」と話す。

「世間の雰囲気」
 帰省を取りやめた首都圏に住む十勝出身者は「コロナはそれほど深刻に考えていない。帰省しても大丈夫と思うが、世間の雰囲気に合わせた」と本音を明かす。

 十勝管内の会社に勤め、東京に単身赴任する50代男性は、家族から帰省を拒否された。「『帰ってきても家に入らないで』と言われ、信じられない気持ちだった」と語る。

 妻の職場からは帰省は控えるよう要請が出ていて、今は仕方がないと自分を納得させる。2月から十勝に帰っていない男性は「自分一人の移動で、多くの人に迷惑がかかる可能性がある。都民はGo To キャンペーンの対象にならず、家族からも嫌がられるのはつらい」とため息をつく。(松田亜弓、池谷智仁)

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