帯農自慢の猛打さく裂完勝、北大会へ 足寄も奮闘 高校野球支部大会
高校野球の夏季北海道大会北北海道大会十勝支部大会は25日、帯広の森野球場でBブロックの代表決定戦を行い、来月の甲子園交流試合に出場する帯農は12安打の猛攻で足寄を五回コールドの12-0で快勝、同第2日(同6日)第1試合で旭川龍谷との対戦を決めた。足寄も2度の得点機をつくるなど攻守で奮闘した。(岡部彰広、北雅貴、金野和彦)
<Bブロック代表決定戦・帯農-足寄>
帯農は打線がつながった。初回、内野安打の西川が江森の犠打で二進し井村の右中間二塁打で先制。さらに1死一、二塁から水上の中越え三塁打。菅の内野ゴロ間に水上が生還し4-0とした。二回には先頭村中の四球を足掛かりに西川から犠打や四死球を挟んでの6連打で大量7得点、試合を決めた。三回には水上が今大会第1号の本塁打を放った。
足寄は初回2死一、二塁に続いて二回にも2四球と天木の中前打で1死満塁の好機をつくったが生かせなかった。左腕エースの山下隼は帯農打線につかまったものの守備は併殺を一つ決めるなど無失策で耐えた。
◆帯農、打つべき選手が打ち自慢の猛打発揮
猛打で道大会4強入りした昨秋をほうふつさせる勝ちっぷりだった。終わって見れば2年生が多い伸び盛りの足寄に完勝し、“選抜大会出場校”の名に恥じない戦いぶりを示した。
打つべき選手が打った。井村塁主将(3年)が内角球をうまく流し打ちする先制打を放つと、初戦3三振と出遅れた水上流暢(同)がワンバウンドで中堅フェンスに達する大三塁打で追加点。「井村のタイムリーでベンチが盛り上がって火が付いた。ライナーを打つことを意識した」(水上)。
二回には打者12人で7得点、三回には早くも3打席目が巡ってきた水上が左翼席にソロ本塁打。昨秋の代表決定戦での満塁弾に続く年をまたいでの2試合連続アーチに、前田康晴監督は「よく打ってくれた。あの1点は大きかった」。秋の快進撃の再来を予感させる一発に、指揮官は目いっぱいの笑顔で褒めた。
5月20日の夏の甲子園中止から一転、北海道独自大会開催が決まる中、休校によるブランク期間の影響は続いた。練習試合は6勝10敗と負け越した。ただその中で白樺学園や帯大谷といった強豪、旭川実、北照(小樽)の管外実力校との戦いを通し、足りない部分の確認や甲子園クラスの相手にものおじしない気持ちを育てた。本来の攻撃力や守備力を戻すには時間だけが問題だった。
春から注目を浴び続けた帯農は、北大会は各校のターゲットになる。もちろん井村主将は「甲子園があるが、負けたら最後という気持ちで戦う」と、逆に向かっていく挑戦者の気持ちで勝ち抜くつもりだ。
◆帯農・前田康晴監督の話
ほっとしている。井村の1本(先制打)で士気が高まった。3年生も2試合で全員がベンチ入りできた。まだ“勝ち際”の集中力が足りない。北大会までに詰めていきたい。
◆同・井村塁主将(3年)の話
初回からいい雰囲気のまま勝てた。うれしい。秋のような打線に戻って自信になった。北大会でも継続したい。北大会までに走塁と守りにこだわって練習したい。
◆足寄、相手猛攻にさらされながらも闘志貫く
「完敗。投手力を中心に打力、守備力、走力とも圧倒的に差があった」。足寄の池田剛基監督はさばさばした表情で振り返った。
初回から帯農の猛攻にさらされた。二回を終えて0-11。このままでは10点差以上で適用される五回コールド負けは必至だ。それでも選手は下を向かなかった。「七回までは戦おう」と食らいついた。
昨秋の支部予選で帯農に1-13で敗れた悔しさを胸に鍛えた打力。多い時で1日1000超のスイングと振り込み、厳しいトレーニングで体も大きくなった。選手同士で体重を確認し合うなど高い意識で取り組んだ。得点は奪えなかったが初回には連打で、二回には満塁の好機もつくった。福田瑛二主将(3年)は「やってきたことに間違いはなかった。ただ力が足りなかっただけ」と前を向いた。鵡川高で甲子園に出場した元プロ野球日本ハムの池田監督が足寄に来ることを知り、進学して練習に励んだ福田主将。「この経験を生かして帯農にリベンジできるチームになって」とエールを送った。
3年生が2人だけの若いチーム。1番打者で遊撃手として出場し、2番手で登板した青木克郎や、1安打ずつ放ったクリーンアップの星亮汰、高橋聖七、久保晃大ら楽しみな2年生が多い。青木は「悔しい。2人の3年生の気持ちも受け止め、勝てるように練習していく」と気合を入れた。
◆高校野球
・夏季北海道高等学校野球大会 十勝支部予選-勝毎電子版特設ページ
◆試合経過はこちらから
・足寄 12-0 帯広農業-勝毎電子版特設ページ