黒板アートの作者は駐在さん 鹿追
【鹿追】十勝毎日新聞販売店「かちまい鹿追」(町新町1、山木友子店主)の窓に、人目を引くクオリティーの「黒板アート」が飾られている。その作者はまちの駐在さん-。
山木店主がポスターを貼るなどしていた窓辺を活用し、絵の好きな町民に発表の場を提供しようと、昨年から黒板アートの展示を始めた。
「絵の上手な人がいる」と知人から紹介されたのが、新得署鹿追駐在所長の押野見祐司さん(56)だった。
押野見さんは帯広署勤務時代の十数年前に独学で絵を始めた。定年後はクルーズ船で旅をしたいという押野見さん。「何か趣味があった方が船上でコミュニケーションが図れるので」と、もともと好きだった絵を趣味に選んだ。
押野見さんの作品は、写真やイラストをなぞって写す「トレース」で描いた、芸能人の肖像などが中心。新聞やテレビなどを見ては題材を探し、これまでに描いた作品はスケッチブック40冊分に上る。住民向けの防犯講話などでも披露し、参加者に喜ばれている。
山木店主の依頼を快諾し、この春から描き始めた。黒板アートでトレースはしづらいため、最新作は映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の主人公を、お絵描きロジック(塗り絵パズル)の本を参考に描いた。2000マスを塗り分けて描き出されたジャック・スパロウの顔は圧巻。本業の啓発も抜かりなく、「急なカネの話はサギだって」などとピリリと辛い「駐在の小言」を書き添えた。
作品は月1回のペースで入れ替えており、「鹿追にいる間は描き続けさせてもらいます」と押野見さん。黒板アートの本を入手して新たな作風も模索するとのことで、目が離せない。作品は7月末まで展示予定。(丹羽恭太)