帯広出身の鎌田有芽、社会人バスケ「AC播磨」に入団 Wリーグ目指す
社会人バスケットボールの女子西日本地域リーグに所属する「AC播磨イーグレッツ」に今春、帯広市出身の鎌田有芽(ゆめ)=(22)、静岡産業大、帯大谷高、帯八中、明和小=が入団した。昨年はレベルの高い東海学生リーグ戦の2部リーグで優勝に貢献し、最優秀選手賞(MVP)を受賞。1部との入れ替え戦も勝利し、2季ぶりの昇格に寄与した。3年生から主将としてチームを引っ張る大黒柱として存在感を見せた。社会人としては新型コロナウイルスの影響で波乱の船出に。全体練習は中断したままで、6月20日に開幕予定だったリーグ戦も9月末に延期となった。それでも「普通の練習や試合ができなくても、どんな状況でも成長はできる。課題を見直し、妥協せずに今できるトレーニングに励みたい」と前向きだ。(北雅貴)
鎌田は明和少年団でバスケットボールを始め、帯八中では帯広選抜に選ばれ、帯大谷高と静岡産業大で主将も務めた。静岡産業大では1~3年生は東海学生リーグ戦1部で戦った。3年生時は1学年上の先輩が一人もおらず10戦全敗。入れ替え戦でも敗れ2部に降格した。
入学時から一番の目標にしていた全日本大学選手権大会(インカレ)。東海からはリーグ戦1部の上位3チームが出場権を得る。3年まで一度も達成できず、最終学年では権利への挑戦さえなくなった。「気持ちが整理できなかった。同学年の選手も気持ちが落ち込み、競技を続けるか話し合った。もう一度みんなで頑張ろうと立ち上がった」と振り返った。
2部でMVP
主将として誰よりも練習し、ノートにメモをし、バスケットボールに長い時間を割いて仲間を鼓舞。泥くさく体を張ってプレーした。「みんなが私に付いてきてくれた」と、昨年は降格した2部で通算8勝2敗で優勝。センターとしてゴール下で奮闘しMVPにも輝いた。1部6位の中部学院大との入れ替え戦でも2連勝した。2年生から4年生まで、静岡県の成年の部代表として国体にも出場した。
大学で完全燃焼し、教員になろうと考えていたが、複数の社会人チームからスカウトされた。女子日本リーグ(WJBL)入りを目指すAC播磨の熱意に心を動かされ進路を決めた。
現在は兵庫県姫路市の近くの福崎町で、ニシキゴイや熱帯魚など観賞魚の飼料を製造するスポンサー企業のキョーリンフード工業の工場に勤務している。鎌田は機械のメンテナンスや商品の検品、梱包(こんぽう)などの作業を担う。平日は夕方まで勤務し、午後7時から約2時間ほど練習し、土、日曜日は半日ほど汗を流す。
来月から全体練習
4月に入社し、しばらくは全体練習ができていたが、同月上旬に県の緊急事態宣言を受けて大幅に制限した。工場内のコート半分ほどの面積にゴールを置き、ラインを引いた。少ない人数でシュート練習したほか、ベンチプレスやスクワットなどをこなすトレーニング室ではマスクを着用し、換気をしながら、使った器具は必ず消毒。休日は河川敷で1~3人で練習した。現在も変わらないが、6月の第2週から全体練習が再開される見込みだ。
身長175センチはゴール下で戦うポジションとしては小柄だ。「相手の高さに負けないよう、体を張って互角に戦いたい。新人らしく積極的なプレーで得点を狙う。リバウンドは必ず取り切る」と意気込む。
帯大谷高では人間性を磨き、仲間の大切さを学んだ。「新型コロナウイルスのために大会がなくなった最終学年の選手の気持ちを考えると心が痛い。何のために頑張ってきたか分からなくなっている人も多いと思うが、この状況の意味を見いだして頑張ってほしい」とエールを送った。
<AC播磨イーグレッツ>
本拠地を姫路市に置く。2013年に創設。14年に兵庫県実業団連盟に加入し、15、17年に全国実業団大会の出場を果たした。18年に女子日本リーグ(WJBL)に次ぐカテゴリーとして誕生した地域リーグに参戦している。女子西日本地域リーグには8チームが属し、AC播磨は18-19年シーズンが8位、19-20年は7位と苦しんでいる。今季は鎌田を含む日本人選手5人とナイジェリア人1人が加入し、フレッシュな顔触れとなった。