榛澤力、米国アイスホッケーJr.リーグでの2シーズン目へ地元で汗を流す
【清水】アイスホッケーで清水町出身の榛澤力(はんざわ・ちから、18)が、米国ジュニアリーグでの2シーズン目に備え、地元でパワーアップを図っている。昨季は16~20歳を対象としたジュニアの1部リーグ(USHL)のトライシティ・ストームと、シーズン途中に移籍した2部(NAHL)のミネソタ・ウィルダネスでプレー。FWとして計10ポイント(5ゴール5アシスト)を記録した。ルーズパックの奪い合いやボード際の激しい戦いには課題も感じた。試合会場までバスで12時間の移動も。肉体的、精神的に強さも求められた。今年7月後半のトライシティ・ストームのキャンプへ招待されており、アピールするつもりだ。「来季はシーズンを通して1部に定着し、20ポイントを挙げたい。課題を克服していく」と張り切っている。(北雅貴)
躍動して契約
榛澤は西武鉄道などでプレーした元日本リーガーの父の淳さんに影響を受け、御影小1年時に地元少年団で競技を始めた。清水高2年時の夏に悩んだ末に休学し、スウェーデンへ。18歳以下のトップリーグ「U-18エリート」のファールンに入団し、第1セットのFWとして活躍した。
昨年5月に、自身のレベルアップを考えて挑戦を決意したトライシティ・ストームのキャンプでアピール。9月のプレシーズンマッチでは5試合で6ポイント(1ゴール5アシスト)と躍動し、正式契約を勝ち取った。
ただ、そのまま順調にはいかなかった。ヤングスタウン・ファントムズに所属する苫小牧市出身の安藤優作(16)との対戦を含めて4試合に出場。1アシストを記録したものの、「相手選手とのパックの競り合いで奪われる場面が多かった」と振り返った。プレシーズンとは1プレーに懸ける意識の強さが違ったという。
緊張を楽しむ
試合でのプレー時間が短くなり、チームから成長のために移籍を告げられた。翌日早朝の飛行機に乗りミネソタに移動と慌ただしかった。悔しさを胸にミネソタ・ウィルダネスで33試合に出場。移籍後4試合目で待望の初ゴールを挙げた。1点を追う第3ピリオド15分ごろの同点弾だった。得点王となった今年1月の男子U20世界選手権4部の直後の試合では2得点した。
2部は四つのディビジョンに分かれ、ウィルダネスは6チームのセントラルに所属。新型コロナウイルスの感染拡大のため、リーグ戦は3月中旬に中断し、チームもあと10試合ほど残して5位で終了した。「強豪の1チーム以外はどこが勝ってもおかしくない。常に競り合う試合ばかりで緊張感があり楽しかった」。毎週、結果が残せずチームから去る選手がいた。一試合一試合が勝負の厳しい舞台。「密度の濃い貴重なシーズンだった」と話した。
最高の準備を
米国の1、2部のジュニアリーグの試合には有名大学のスカウトが観戦する機会が多い。大学を経てプロ入りを目指す選手の高い意識に接し刺激を受けた。「ホッケーを基準に生活している。自炊など食へのこだわりもあって意外だった」と驚いた。週末の試合に向けて月曜日から練習を実施。ホームステイ先から車で畑や林を抜けて約15分の距離にあるリンクに向かう。正午から施設内のジムでトレーニング。氷上で1時間ほど練習し、ミーティングする日々だった。午前中は清水高から昨春に転校した通信制のNHK学園高の勉強に励んだ。
現在は清水町で練習を重ねる。ランニングを昨年よりも多めに取り入れており、今後はラダーを使った瞬発力系のメニューにも力を注ぐ。競り合った際に170センチの小柄な身長をカバーできるように、食事と筋力トレーニングも気を配り、体重は2カ月前より2キロ増えて69キロになった。「最高の準備をして臨む」と目を輝かせる。