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小遣い稼ぎの山菜採り、いいの? メルカリなどで道内産出品相次ぐ 道や林野庁は「想定外」

北海道産の行者ニンニクが大量に出品されている「メルカリ」

 小遣い稼ぎのために山菜を採るのは、問題なし? 道有林などで採った山菜が、フリーマーケット(フリマ)アプリで販売されている実態が浮かび上がった。お金をかけず、採ろうと思えばいくらでも採れる山菜だが、「自分で食べられる分だけ採るのがルール」という声は根強い。道などは「想定外」と驚くが、手の打ちようがないのが実情だ。(高田晃太郎)

 5月上旬ごろに道東地域でシーズンとなる行者ニンニク。フリマアプリ大手の「メルカリ」で検索すると、十勝を含む北海道産がずらりと並ぶ。相場は送料込みで1キロ3000円前後。人気商品らしく、ほとんどが出品後すぐに売り切れている。

 記者が出品者に、どこで採集したのか質問したところ、少なくとも3人が「道有林」や「河川敷」と答えた。その中には10キロ近く売った人や、来年収穫予定のものをキロ単位で“先行”販売している人もいた。

 ほかにもタラの芽やウド、フキなど出品された山菜は何種類にも上る。

 「私有林であれば、所有者の許可があれば採るのも売るのも自由だ」。だが道や林野庁によると、道有林や国有林での採集は自由であるものの、販売目的の場合は「林産物売買」の契約を結ぶのが“まっとう”な方法だ。ただ、この契約は木材や鉱石、山菜で生計を立てている業者が主で、趣味の山菜採りは想定されていない。

 これまでもスーパーや道の駅などに山菜が置かれ、地元で消費される例はあった。しかし、フリマやネットオークションの登場で、不特定多数の人に向けて気軽に出品できるようになり、一部の間では山菜採りがレジャーから“小遣い稼ぎ”の手段になっている。

 道有林課は「レジャーの一つとして自分の分だけ採るのは問題ないが、販売を前提とした採集は想定していない」と、フリマ販売の実態に驚く。日高山脈を所管する十勝西部森林管理署(帯広市)も「国有林は国民の財産。販売は認められない」とする。

 ただ、フリマなどの山菜は実際にどこで採られたのか判断できないため、「追跡しようがない」のが実情だ。漁業権のような法律もないため、採集する人の良心を信じるしかない。

 「北海道山菜図鑑」(亜璃西社)の著者、佐藤孝夫さん(岩見沢市)は「都市部に住んでいる人や高齢者など、採りたくても採りに行けない人もいる。道内なら採る分以上に十分な量があるので、目くじら立てることでもないのでは。ただ、来年も同じ場所で採れるように根などを残しておくことが大切」と指摘する。

 一方、山菜アドバイザーの資格を持つ工藤森生さん(岩見沢市)は「山菜採りは楽しむために行うのであり、お小遣い稼ぎのためにすべきではない。売るのであれば自宅の庭で育てればいいのでは」と疑問を投げ掛ける。


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