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妻のために石像建立 元獣医小関さん 新得

国道38号沿いに立つ「慈母観世音菩薩像」

 【新得】町内の元獣医師・小関三樹男さん(92)が12月、妻良子さん(87)=旧姓中村=の生涯を顕彰する巨大な石像「慈母観世音菩薩像」を建立した。役場からもほど近い国道38号沿いに突如現れた高さ6メートルの立像が、町民の話題を呼んでいる。

 三樹男さんは鹿追町出身、父親が営林局勤務の恵まれた家庭で、「世間知らずのお坊ちゃん」(良子さん)。一方、帯広市中心街で育った良子さんは、幼い頃から市内では有名なおてんば娘だったという。

 2人は1953年に結婚。三樹男さんと出会った頃のことを良子さんは「喫茶店に入ってもコーヒー一つ注文できない、会計もできない人だった。何もできないから、結婚すれば私の思い通りになると思った」と振り返る。

出会った頃を振り返る小関さん夫妻

 高給の獣医と結婚したつもりの良子さんだったが、三樹男さんの給料は全て父親が管理。三樹男さんは「給料は妻に渡すものだと知らなかった」と笑う。良子さんは家計を支えるため、洋裁を教えながら、電気代の集金や保険の外交などさまざまな仕事で、持ち前の如才のなさを発揮した。

 勉強が得意だった良子さんが面倒を見た弟は1級建築士に。2男1女をそれぞれ、大企業の役員など立派に育て上げた。「妻は人づくりの名人」と話す三樹男さんも今では、自分でコーヒーをいれ、良子さんに「あれが食べたい」と言われれば買い物も料理もこなすようになった。

 「こんな素晴らしい生き方をした人がいたことを後世に残したい」と、三樹男さんが一人で石像建立を計画した。

 完成するまで知らなかった良子さんは「よくまあ、こんなばかなことを考えるもんだ…」と苦笑しながらも、「面白い人生だったね」と、三樹男さんとしみじみ顔を見合わせた。(丹羽恭太)

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