木材腐朽菌の研究 帯工高研究グループ
帯広工業高校(稲津誠校長)環境土木科3年の研究班は「木材腐朽菌」を使って木を腐らせ、そのスピードや効果的な菌についての研究を行っている。将来的には、河川などに散乱した流木の効率的な処理方法として実用化を目指す。18日には菌を植えた試験木を同校近くの川のそばに設置し、実験を始めた。
寒地土木研と試験木を設置
同科の岡本博教諭が指導する「課題研究」の授業の一環。帯広建設管理部、寒地土木研究所(札幌)、北海道大学、十勝川中流部市民協働会議が連携して取り組んでいる。
2016年の台風被害で河川に大量の流木が発生したのを機に、このような災害に対し、高校生も何かできないかと岡本教諭が考案した。翌年から流木の効率的な処理方法を調べ、今年度までに木が腐朽しやすい環境条件は明らかになりつつある。寒地土木研究所の村上泰啓主任研究員が、自身の研究の過程で同校の取り組みを見つけ、木を腐らせる菌「木材腐朽菌」に詳しい同研究所の布川雅典研究員と今回のプロジェクトを始めた。
木材腐朽菌は、樹皮が傷ついたところに寄生する菌。繁殖することで木を分解し、最終的には無機化される。同研究所は高校生の研究に対しノウハウを教えるなど協力。今後も連携して調査結果を共有する。
今年度は同科3年の臼井竣紀さん、岡林ななみさん、佐々木陸玖さんが取り組んでいる。18日は村上主任研究員、布川研究員と、菌を植えた40センチ前後の試験木約50本を同校近くの川辺に設置した。
試験木にはクルミなどを用い、菌はナメコやエノキといったキノコを使う。雪が降りしきる中、生徒たちは試験木を運び、土の上に置いたり半分だけ埋めたりした。雪が解けた来春に調査を再開する予定。村上主任研究員は「防災の観点でも非常に意味のある研究」と見守る。
岡本教諭によると、調査は今後4年ほどかかる計画で、他の菌も探していく。「流木をその場で処理できるようにすることが最終目標。生徒たちは頼もしい」と語る。
生徒の佐々木陸玖さん(18)は「この研究が成功したらたくさんの人の役に立つ」と期待を寄せる。今後は後輩たちに引き継ぐが、「結果が楽しみ。卒業しても気になって見に来るかも」と話した。(細谷敦生)