医療職希望の若者、管内で就職を 帯広の各病院が仕事の面白さアピール
医療職を目指す若者は地元で活躍して-。帯広市内の総合病院が、高校生らに医療職の面白さや地元の良さをアピールする取り組みを粘り強く進めている。十勝では管外への進学でそのまま就職してしまうケースも多い中、病院側は生徒らが地元にいるうちから接点を増やしている。
帯広協会病院(阿部厚憲院長)は、2013年から市内の高校3校(柏葉、緑陽、三条)の生徒を対象に医療現場の体験見学会を実施している。
今年は第1弾として6日、柏葉生を受け入れる見学会を始めた。9日にかけ、生徒25人がリハビリ、臨床検査、画像診断、薬剤、栄養管理などの仕事を体験する。
7日、同病院のリハビリテーション科を訪れた生徒は、角度計を使って膝の曲がり具合を図ったり、自身の体重を軽減した状態でトレーニングができるリハビリ機器「アルタ-G」を体験したりした。
参加した對馬琴乃(ことの)さん(15)=1年=は「中学時代にけがでお世話になり、興味を持った。現場を間近に見て、理学療法士を目指す気持ちが強くなった」と話した。
同病院臨床検査科の後藤浩実科長によると、こうした学生とのコミュニケーションを通じ、資格取得の際の実習先に同病院を選んでくれる生徒も少しずつ出ている。来年にも、見学会に参加経験のある学生が同病院に就職する見込みだ。
一方、帯広第一病院(山並秀章院長)は、地元の看護学生に同病院で働く面白さやメリットを改めてアピールしている。7日に帯広高等看護学院生ら9人を迎えて実施したインターンシップでは、18年に導入したばかりのパートナーシップナーシングシステム(PNS)による看護体制などを紹介した。
PNSは看護師が2人一組で患者対応を行う仕組みで、先輩後輩の指導が円滑になったり、業務を臨機応変に分担することで時間外労働を減らしたりできるメリットがある。
参加した青木萌々花(ももか)さん(20)=同学院3年=は「現場を見て実際に仕事をするイメージが持てたし、『いいな』って思えた」と笑った。
帯広市医師会(稲葉秀一会長)の調べによると、管内の高校では医療職を希望する若者は増加傾向にあるが、現時点では進学先の受け皿が少なく、人材が管外に流出するケースも少なくない。(奥野秀康)