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宮城の能面師来町 復興支援を縁に芽室の弟子上嶌さん激励

専用の「のみ」を使って彫り上げられた能面と(左から)沼田さん、上嶌さん

 【芽室】宮城県山元町で能の伝統を守る能面師の沼田松政さん(81)が20日、芽室を訪れ、東日本大震災の復興支援を縁に師弟関係を結んだ町職員の上嶌寛さん(54)=保健福祉課高齢者相談係長=を激励した。

 沼田さんは札幌出身で、自衛隊に勤務した20代の頃には帯広と鹿追に赴任した経験もある。自衛隊を退官して横浜の企業に勤務、47歳から能面を作る団体に参加した。60歳の定年を機に山元町に移住、工房を主宰する傍ら「宮城面友会」を立ち上げた。

 東日本大震災では海に近い自宅や工房が被災。周辺では700人ほどが亡くなった。津波に流された工房は建物ごと林に引っ掛かっているのを発見され、約170の能面は奇跡的に残ったという。

 震災前にいた20人の弟子は散り散りになったが、宮城の能文化を絶やすまいとプレハブ小屋を建て、震災後半年で工房を復活。その後、4人の弟子が戻り、現在は後進の指導の傍ら、面の制作にいそしむ。「図面は頭に入っている」とし、専用の「のみ」で、大まかな形から細部まで約2日間で彫り上げる。

 上嶌さんとの出会いは2016年。震災復興支援で山元町役場に派遣された上嶌さんと意気投合、弟子の人数がそれほど増えなかったこともあり、弟子として迎え入れた。上嶌さんは沼田さんの指導で、男面作りからスタート。翁(おきな)面にも挑戦し、半年間の修業中に4面を作るまで成長を見せた。

 能面作りに魅了された上嶌さんは帰町後も制作を続け、この1年半で2面を完成させた。「能面作りの奥深さを味わえるのはこれから。宮城面友会との縁を大切に、今後も精進したい」と語る。

 沼田さんは「2年間でかなり上達した。能の幽玄な世界を自ら切り開き、一日も早く1人で打てるよう自立してもらいたい」と、北海道の弟子の成長を期待している。(折原徹也)

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