動物診療車を導入 帯広畜産大
帯広畜産大学(奥田潔学長)は、牛や馬などの産業動物を診断・治療する移動型の「産業動物総合画像診断システム」を導入した。診断車2台で往診し迅速で高度な獣医療を提供するとともに、世界水準の教育・研究環境を整備した。同大によると、産業動物の画像診断に特化した移動型システム導入は日本初。
同大は1994年に大型X線透視装置を搭載した診断車を導入し、産業動物の画像診断を支援してきた。産業動物分野の教育・研究を充実させ、国際水準を満たすにはX線以外の総合的な移動診断システムが必要と考え、2台の診断車を今月導入した。費用は約1億円。
2台の診断車は役割が異なる。1台は「移動型診療室」として、X線透視やレントゲン撮影、超音波、内視鏡検査装置などを搭載し、治療設備も備える。もう1台は「移動型検査室」。診断結果を基に病原体や遺伝子検査を行い、病気を確定する。さらに、人工授精や受精卵移植など高度な生殖医療にも活用する。同大教員が診療に当たる。
2台の診断車の外装には、帯広畜産大のロゴマークや牛、馬などの絵が描かれている。民間の獣医師と協力し、1次診断では判断が難しい場合に出動することを想定している。
同大と北海道大による共同獣医学課程では、国際水準の獣医師養成に向け、欧州認証取得の取り組みを進めている。南保泰雄教授は「学生も診療に同行する。高度な医療に接することができ、有用な教育ツールにもなる」と話す。(池谷智仁)