コンパクト化鮮明に ひな人形商戦ピーク
3月3日の桃の節句に合わせ、帯広市内の大型店で「ひな人形」商戦がピークを迎えている。住宅事情や核家族化などから、飾る場所を選ばず、収納に便利なコンパクト商品が好まれる傾向が進んでいる。
ひな人形は、女の子の誕生を祝い、健やかな成長への願いが込められている。市内大型店のひな人形商戦は1月中旬から下旬がピークで、昨年12月から売り場を展開する店が多い。
藤丸は「三段飾り」「親王飾り」など約70種類の商品を用意。台座の中に人形を保管できる「収納飾り」が人気で、売り上げの半数を占めている。売れ筋価格帯は15万~20万円。
削り出した木に衣装を貼った「木目込人形」や、天皇・皇后両陛下の成婚時の衣装を再現した人形も好評。売り上げは前年並みで、子供家庭用品課の浦島行子係長は「三段飾りも、コンパクトで収納できる商品が人気」と話す。巨大な七段飾りは、2~3年に1セットの割合で購入者がいるという。
近年、帯広の子どもの数は減少しているが、ひな人形市場は拡大傾向にあるという。孫の成長を願い、立派なひな人形を贈る祖父母の存在や、幼少期に買ってもらえず、自分用に購入する65歳以上の女性の増加が背景にあるようだ。
イトーヨーカドー帯広店の売り上げは、前年比8割増と好調に推移。前年は期間限定だったカード会員1割引きを五月人形商戦終了まで拡大したほか、人形は一体一体表情が異なるため、お気に入りをいち早く確保したいとの心理が働いたと分析している。
約80種類の商品がそろう中、人気は4万~10万円の「ケース飾り」。人形と装飾がケース内に展示されたコンパクトな商品で、びょうぶなどの装飾にも力を入れ、差別化を図っている。
帯広店のひな人形の売り上げはここ数年伸び続け、伸び率は同社店舗の全国平均を上回る。高嶋嗣仁趣味雑貨担当マネジャーは「十勝は風習を大事にする習慣が根付いている。農家など広い住宅も多く、今後も需要が増えるのでは」と期待している。(池谷智仁)