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1年経ても復旧工事めど立たず JR根室線新得-東鹿越

南富良野町の落合-新得間では線路をふさいでいる流木が残ったまま。復旧工事が始まる見通しは立っていない(塩原真撮影)

 【南富良野、新得】昨年の台風10号により被害を受けたJR根室線の東鹿越(上川管内南富良野町)-新得間(41・5キロ)は被災から1年が経過した今も、復旧工事が始まるめどが立っていない。現在はバス代行が続き、線路上には流木が堆積したままの場所も残る。同区間は台風被害を受けた後の11月にJR北海道が発表した「単独維持が困難な線区」にも該当しており、新得町など沿線自治体は路線継続へ危機感を強めている。

 JR根室線は台風10号による川の氾濫で泥水や流木が線路に流入するなどの被害を受け、直後から富良野-新得間が通行止め。10月に入り富良野-東鹿越間の運行は再開したものの、通学する学生や観光客の利用があった東鹿越-新得間は今も不通が続く。現在は不通区間で上り6本、下り4本のバス代行を行っている。

 JR北海道が5月までに実施した現地調査によると、東鹿越から上落合信号場(南富良野町)の区間は土砂の流入・堆積やのり面崩壊、流木堆積などの被害が集中。被害箇所はこの区間で21に及び、概算で復旧工事費は10億5000万円、1年以上の工事期間を要すると試算する。また流木対策として、流入を防ぐためのえん堤の新設など、河川管理者の南富良野町や道路管理者の道に求める事項も出てくるという。

 台風被害に加えて、11月にはJR北海道が不通区間を含む富良野-新得間を「単独維持が困難な線区」の1つとしてバス等への転換を目指すと公表。新得町など沿線の7市町村は鉄路存続に向けて「根室本線対策協議会」でJRや道の担当者を交えた事務レベルでの検討会議を月に1度続けており、利用促進策や費用軽減策などについての意見を取りまとめている。

 新得町では独自に乗客を対象にしたアンケートを実施し、結果を参考に利用促進制度の導入や住民意識の醸成方法を検討する方針だ。

 JR側は沿線自治体との協議で「持続可能な交通体系」の実現に向けた一定の結論が出るまで工事に着手しない意向を示しており、新得町の浜田正利町長は南富良野-新得間の復旧を「最重要課題」として位置づける。バス運行になった際の冬期走行の安全性や自治体の赤字負担を不安視し、「台風被害をきっかけに廃線へつながるようなことがあってはならない」と話している。(中島佑斗、小寺泰介)

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