小麦栽培からピザ開発に挑戦 熱中小と帯畜大
【更別】社会人が学ぶ「十勝さらべつ熱中小学校」(山井太校長)は、道内の主流品種とは異なる形質を持つ小麦を栽培し、村の特産品としてピザを開発・販売するプロジェクトに乗り出す。小麦の育成に帯広畜産大学が協力し、熱中小の生徒が畑の管理、商品開発や販路開拓を実践しながら学ぶ。
「熱中PIZZA(ピザ)部」の名称で、熱中小の課外活動と位置付けた。4月に開校した熱中小では、特産品開発のプロデューサーや企業経営者らが講師を務め、道内外から異業種の生徒が受講する。生徒や講師の知識や経験を組み合わせることで、新たな価値の創造を目指す。
道内をはじめ、世界中で栽培されている通常の小麦に比べ、古代種とも呼ばれる「スペルト小麦」に着目。特性などを研究する帯広畜産大学の大西一光准教授が、スペルト小麦に春まき小麦「はるきらり」を掛け合わせて育種したものを、村の試験用の畑で育てる。
ピザ部の発起人で熱中小の生徒、岡田昌宏さん(33)=更別村、農業=はスペルト小麦でピザを作った経験を持ち、「味が濃く、サクサクした食感だった」という。大西准教授は「普通小麦に比べて脱穀しづらい特性を持つ。収量や味の違いなどを比較できれば」と話す。
小麦の育成と並行し、ピザソースの開発や村内のピザ店と協力したピザづくりに取り組む。岡田さんは「アスパラやジャガイモなど村の旬の食材を楽しむベースになるはず」と特産品としての可能性に期待する。
29日午前10時から、熱中小の生徒や大西准教授、畜大生約20人が村ふるさと館に隣接する畑0・15ヘクタールに小麦の種をまいた。スペルト小麦系の品種18系統と、はるきらりを22区画に分けて栽培。順調に生育すれば、8月ごろに収穫できる見込み。(深津慶太)