特養待機者 過去6年最少 施設増、条件厳格化で 帯広市内
帯広市は、市内の特別養護老人ホーム(特養)への入居を希望する待機者の状況(6月末時点)をまとめた。待機者数は前年比61人(6・5%)減の892人で、過去5年で最も少なかった。施設整備が進んでいることや、入居条件が厳格化されたことなどが要因とみられる。
市の待機者数は2008年に前年比減の781人となって以降は、高齢化の進展に伴って増え続け、13年にピークを迎えた。14年からは減少に転じ、昨年は1000人を割り込んだ。
施設面では、「第5期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(12~14年度)」の期間内に5施設126床を整備。9施設545床だった11年度末に比べ、14年度末には14施設671床に増加した。現在、市内の特養は14施設685床。
また入居条件では、15年度から国の制度改正で「要介護1以上」だった特養の入居条件が、原則として「要介護3以上」に引き上げられた。要介護1、2の待機者は昨年の384人から334人と13%減少。市介護保険課は「不必要な申し込みの抑制につながったのでは」とみる。
一方、近年は将来を見越した入居申し込み者の割合が増えている。待機期間が5年を超えても構わないとする人の割合は11年の15・3%から徐々に増え、今年は昨年比2%増の21・4%だった。同課は「施設の空きを案内しても断られることが増え、空いた施設が埋まるまでの期間が長くなっている」とする。
施設整備には課題もある。全国の事業所では、介護人材の確保に苦心しており、市でも離職者に向けた復職研修を行っているが、十分な人材確保には至らないのが現状だ。また施設を増やせば介護保険料も上がり、市の財政負担も増える。特養増設は各自治体で進めている在宅ケアの充実に逆行するという見方もあり、政策面との兼ね合いも考慮する必要がある。
市は現在、「第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(15~17年度)を進めており、16、17年度に2施設ずつ計58床の整備を予定している。今後について同課は「来年度の待機者の状況も勘案しながら、計画を進めていきたい」としている。
(安倍諒)