畑の実り 覆う雪 収穫、防除作業に遅れ
平年より早く雪が積もった管内で、終盤を迎えた農作業が進まず、畑作農家が頭を痛めている。積雪は平年より半月早く、朝晩の気温も低いため、畑には雪が解けずに残ったまま。ナガイモやビートの収穫作業が遅れ、秋まき小麦の適期防除も不安視される。8日は再び雪の予報で、関係者は早い天候回復を願っている。
帯広市川西長いも生産組合の藤田光輝組合長は「これだけ寒い中で掘ったのは初めて。作業期間が延びて参った」と話す。同組合の農家は1日に始まったナガイモ収穫の最盛期。ただ、積雪や冷え込みで作業が遅れている。ナガイモの品質に影響はなく、万一掘れなかった物は春掘りに回すことができるが、「寒さの中で苦労しながら作業している」という。
今月に入って管内では3、5日と平野部でも雪が降り、帯広では平年より2週間以上早く積雪を観測した。気温も低く推移していて、畑では雪が解けずに残っている。
畑作農家では今年の作業が最終盤を迎えている。秋まき小麦は、雪の下で越冬する小麦が雑菌で枯死する「雪腐れ病」を防ぐため、今月は予防剤をまく必要がある。しかし、出芽した小麦がこの雪で隠れた。雪が解けても畑がぬかるむためすぐに畑には入れず、本別町の農家(68)は「来年の出来に影響しないかどうかが心配。(雪と同じように)頭の中も真っ白になった」と皮肉交じりで語った。音更町の農家(67)も「融雪剤をまいて解かさなければいけないかもしれない」と話す。
十勝農業改良普及センター(中札内村)は、ビートは降雪予報を受けて収穫を早めた所があり、ナガイモは春掘りがあるため作業は遅れても影響は少ないとする。ただ小麦については、「雪腐れ病になれば茎数が減る恐れがあり、この時期の防除作業は重要。畑の雪が早く解けて、畑が乾いてほしい」と天候回復を切望している。(安田義教)