電子レンジで食べられるポップコーン商品化 本別・前田農産食品
【本別】国内では珍しいポップコーン用の爆裂種トウモロコシを栽培している前田農産食品(町弥生町27、前田芳雄社長)が、電子レンジで簡単に食べられるポップコーンの商品化に成功した。過去に大手食品メーカーなどが米国から輸入した爆裂種トウモロコシを使って商品化したことはあるが、国内のほ場で生産されたトウモロコシを使った、電子レンジ専用の商品は日本で初めて。
商品名は「十勝ポップコーン」(内容量56グラム)。紙袋に入った状態のまま、電子レンジ(700ワット)で1分40秒ほど加熱すると、袋が膨らんで出来上がる。加熱から40秒ほどでポップコーンが弾ける音が鳴り出し、音の間隔が2~3秒ほど開くようになったら、レンジを止めるだけ。価格は1袋230円。10袋入りの箱詰め2300円。町内の道の駅ステラ★ほんべつで販売している。
3月、同社敷地内に包装用の機材などを導入して生産体制を整え、製造を始めた。製造スタッフとして女性のパート職員2人を雇用し、これまで700袋を製造した。販売は同社系列の販売会社「十勝太陽ファーム」(社長・前田茂雄前田農産食品専務)が手掛ける。今後は管内のパン店などでも順次扱う予定。
最大7人を新たに雇用し年産20万袋を見込む。現在は一般的な塩味のみだが、今後はわさびやカレー、イチゴなど多様な味のパウダーを同封し、商品アイテムを増やしていく予定。
前田農産食品は「十勝の新たな輪作作物に」と、2013年にポップコーンの栽培を開始。当初から冬季間の雇用確保も視野に、商品化を目指していた。初年度はほとんどが倒伏し失敗したが、2年目以降はマルチ栽培の導入など試行錯誤を繰り返したことで、収穫と品質が安定。昨年は14ヘクタールを作付けし、40トンを収穫した。
町内の小学校でフライパンを使った調理体験や、小・中・高校の卒業生を対象に収穫体験を企画してきた前田専務(41)は「弾ける音を聞きながら、消費者と生産者が作る楽しみを共有できる商品。十勝の新たな特産にしたい」と意気込んでいる。(鈴木裕之)