十勝毎日新聞 電子版

Tokachi Mainichi News Web

五輪代表「よくやった」女子マラソン田中智美選手 更別の祖父ら

テレビニュースで報じられた、田中智美選手のリオ五輪代表決定を喜ぶ祖父の武雄さん、親類の潦洸君、珠莉ちゃん、瑛心君(前列右から)。後列は直幸さん、康雄さん、伶子さん(右から、17日午後5時20分ごろ・山下僚撮影)

 【更別】マラソンのリオデジャネイロ最終五輪選考会兼名古屋ウィメンズ(13日)で、日本人1位の準優勝でゴールした田中智美選手(28)=第一生命=が17日、五輪代表入りを果たした。上更別地区に暮らす、田中選手の祖父田中武雄さん(85)ら親類家族は初の快挙を受け、大きな喜びに包まれた。

 武雄さんは、五輪を決める名古屋のレースに応援に出掛けた。「今まで一度もめげたことのない孫が、終わった後に初めて『この1年は大変だった』と口にした」と明かす。「前日は緊張から一睡もできず、早朝から監督と2人で散歩した」と聞いた。五輪当確の報道は耳にしたものの、1年前に横浜国際で優勝しながら世界選手権落選の経験があり、武雄さんは「発表を聞くまで安心できなかった」。午後5時すぎ、待ちに待った吉報を受け、苦難を乗り越えた末につかんだ大きな夢をかみしめるように喜んだ。

 田中選手は1988年、千葉県成田市生まれ。武雄さんとフミ子さん(故人)夫妻の次男啓雄さん(61)=成田市在住=の長女として生まれた。第一生命の陸上部に入ってからも、数年に1度は更別を訪れている。「身体が鈍る」と決して練習は休まず、更別滞在中も「散歩するように、道の駅まで長距離ジョギングへ出掛けていった」と驚く。2年前の年末は、帯広市内の飲食店へ豚丼を食べに行った。その際、世界選手権が開かれる「北京へ応援に行く」と約束を交わした。

 しかし、昨年の同じ時期に結果を残しながらも落選。直後に開かれた田中選手の兄啓祐さん(31)の結婚式では、練習を再開していた田中選手に「頑張ろう。絶対リオへ行けるよ」と、叔父康雄さん(62)・叔母伶子さん(63)とともに激励した。

 高校まで全国大会の経験はなく、強豪の玉川大、第一生命と自ら志願して入部。強さは、地道に積み重ねた努力で身に付けた。日本人トップ争いの小差で名古屋ドームに入って来た田中選手を、武雄さんは「最後は根性だ」と拳を握る手に力を込めながらスタンドで見守った。

 「いよいよ日本を背負って戦うね。孫娘は私の誇り」と武雄さんは優しくほほ笑む。田中選手は第一生命を通じてコメントし、「ずっと目標にしていた五輪内定をもらい、うれしい気持ちでいっぱい。五輪を決めることができたのも、いつも試合があるたびに、ブルガリアなど、どんなに遠くても、更別から応援に駆け付けてくれた祖父の声援があったからこそ。天国にいる祖母もずっと見守ってくれていたと思います」と喜んだ。
(小寺泰介)

更新情報

桜、さくら、サクラ~読者投稿の写真特集

紙面イメージ

紙面イメージ

5.1(水)の紙面

ダウンロード一括(61MB) WEBビューア新機能・操作性UP

日別記事一覧

前の月 2024年5月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

十勝の市町村

Facebookページ

記事アクセスランキング

  • 昨日
  • 週間
  • 月間

十勝毎日新聞電子版HOME