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脳性まひ抱える笹田君、12年の乗馬の成果を披露

12年間の集大成となる卒業検定で見事な騎乗を見せた悠平君(左から2人目)と、サポートする学生ボランティアら

 脳性まひの障害がある笹田悠平君(18)=星槎国際高校帯広キャンパス3年=が、12年間通い続けた帯広畜産大学のサークル「RDAちくだい」による障害者乗馬を“卒業”した。笹田君は同サークル誕生と同時に乗馬を始めた1期生。20日の「卒業検定」で巧みな手綱さばきを披露した。

 笹田君が乗馬と出合ったのは2004年、小学校1年生のとき。障害者の余暇活動や乗馬による機能回復などを目指すRDA(障害者乗馬)の全国組織によるボランティア・ヘルパー講座が帯広畜産大で開かれたのをきっかけに、学生ボランティアによる「RDAちくだい」が立ち上がり、乗馬を体験したい障害児を探していた。笹田君は市内の医療機関を通じて同サークルの紹介を受け、参加するようになった。

 母の真由美さんは「(悠平君は)当時は大の動物嫌い。『泣き出したら通うのはやめよう』と考えていたが、馬にまたがってうれしそうだった」と当時を振り返る。健常者であれば、立った際に倒れないよう姿勢を保つことに苦労はないが、普段、車いす生活を送っている笹田君には馬上で真っすぐに姿勢を保つことも困難だった。

 笹田君は「馬に乗ると体がほぐれる」と乗馬のとりこに。熱心に打ち込み、結果も出るようになり、「大会で優勝したのが一番の思い出。乗馬を始めたおかげで(姿勢など)バランス感覚が養われた」と話す。

 12年間の中で、身体機能だけでなく、人間関係でも多くを学んだという。笹田君をサポートする学生ボランティアは大学卒業で毎年入れ替わるため、そのたびに新たな交友が生まれた。「自分から、新しく入った人に話し掛けるようになった」(真由美さん)と積極性も生まれた。元来の明るい性格もあり、サークルでは「ゆっち」と呼ばれて人気者となっている。

 馬の頭数や、支援する学生と新たな障害児の受け入れなどの兼ね合いなどもあり、他の受講生は中学卒業とともに卒業となる。笹田君の場合は、星槎高校がRDAちくだいでの乗馬を体育の単位に振り返るなど支援する中、高校入学後も通い続け、この日の卒業検定を迎えた。

 卒業検定で、笹田君は馬にまたがり、常歩(なみあし)などでスラロームをクリアする見事な騎乗を披露。「緊張で昨日の夜は眠れなかった。それが馬に伝わったのか、少し暴れてしまった」というものの、充実の笑顔を見せた。

 笹田君は高校卒業後、管内の事業所に就労する。RDAちくだいでの乗馬は、不定期ながら続けていきたいと考えているという。笹田君は「乗馬でそうだったように、一つ一つできることを増やしていきたい」と話し、社会人としての活躍を誓っている。(大谷健人)

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