優雅なすべりで生涯現役 93歳スキーヤー田屋勉さん
93歳を迎えた現在でも独自の滑りでスキーを楽しむ「超高齢スキーヤー」が、芽室町のメムロスキー場にいる。全日本スキー連盟公認指導員と検定員の資格を持つ田屋勉さん(93)=帯広市=は、スキー歴88年の大ベテラン。所属する十勝シニアスキー倶楽部でも最高齢で、「体の使い方次第で高齢者でも楽にスキーは滑れる」と胸を張る。
田屋さんは、1922(大正11)年生まれの旭川市出身。幼少期に自宅前の雪山でスキーを始め、学生時代はジャンプ競技を中心にプレーした。旧国鉄(現JR)への就職をきっかけに十勝に移り住んだ。77年から新嵐山スキー学校(現・めむろスキースクール)の指導者として、多くの地元スキーヤーの育成に貢献してきた。
「若い頃は脚力に頼っていた」と振り返る田屋さんも、年を重ねるにつれて脚力が低下。弱くなった脚力でも安定できる滑り方がないか研究を重ね、「体の使い方で楽に滑れる技術を見つけた」。従来の脚力に頼る鋭いターンから、重力を生かした「エレガントなターン」に切り替えたところ、90歳を超えた現在でも安定感のある滑りでゲレンデを駆け下りることができるようになったという。
現在は市内の自宅で一人暮らし。66歳の時に直腸がんで排せつに障害を持ってもなお、週に1回はメムロスキー場に通っている。周囲のスキーヤーから「田屋さんが滑ってるんだから頑張らないとね」と目標にされるという。「ここでやめたらもったいない」と笑顔を見せ、「他の人にも自分の滑りを覚えてもらって、もっと高齢者スキーヤーを増やしたい」と思いを語った。
(村田壮一朗)
<無理せず滑るコツ>
(1)腰や膝を曲げ過ぎない
(2)横滑りを活用して曲がる
(3)両足交互に重心をかける