新国立に認証カラマツ 五輪需要、十勝産期待
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設で、森林認証を得た国産カラマツ材が使われることが決まった。十勝管内ではカラマツを主体とする市町村有林や民有林12万5000ヘクタールが今年度中に認証取得の見込みで、スタジアム建設での十勝産木材利用に期待が高まっている。
新国立競技場建設では、公募の2案から、昨年12月に大樹町とも縁のある建築家隈研吾氏がデザインした「A案」の採用が決まっている。認証材利用は公開された同案の技術提案書に記されていた。
同提案書では、「国産木材の積極利用により日本が世界に誇るスタジアムを創ります」として、選定する木材は森林認証を得た森林から調達を行うことを明記。スタンド観客席の大屋根の下部を構成する「下弦材」に、国産カラマツの集成材を使用するとしている。
屋根の鉄骨を覆う化粧板としての利用で、観客席が木の空間に包まれるイメージを示している。カラマツの他に国産杉材なども使い、「森林の適正な整備・保全の推進」「木材自給率の向上による林業・木材産業の活性化」を掲げている。
十勝での森林認証は、道が昨年末に管内道有林4万5000ヘクタールで取得したが、道有林の樹種はトドマツが主体。カラマツが中心の市町村有林や民有林は、管内17市町村と全12森林組合、民間山林所有者による「とかち森林認証協議会」が約12万ヘクタールを対象に認証を申請中で、今月中にも最終審査が予定されている。
十勝総合振興局によると、国産カラマツ材は長野や岩手なども産地だが、「供給量のほぼ9割は北海道産材」(林務課)という。スタジアムの建設工事は2017年度以降の見込みで、今年度中に同協議会が認証を取得すれば、スケジュール的には五輪需要に十分に間に合うことになる。
関係者によると、オリンピックでは直近3大会でスタジアムや選手村などの建設に認証木材が使われ、東京でも認証材利用が期待されていた。
同局は「カラマツは強度的にも優れていることで使われたのだろう。(認証取得が進んでいる)オホーツクなどと共に、十勝産材・道産材の利用を期待したい」としている。(小林祐己)
山林や木材製品流通の適正管理を第三者機関が保証する仕組み。とかち森林認証協議会は、全国林業改良普及協会(東京)による国内認証制度「SGEC」を申請している。