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畜大馬術部出身の高野調教師が活躍 有馬記念にも期待

国際GIのジャパンカップを制したショウナンパンドラと高野調教師(前列右から3人目の灰色のスーツの人)

 東京競馬場で11月29日に開催された中央競馬のGIレース「ジャパンカップ」で、帯広畜産大卒の高野友和調教師(39)=栗東=が管理するショウナンパンドラ(牝4歳)が優勝した。福島県出身の高野さんは牧場や騎手の出身ではなく、“帯畜大馬術部出身”という調教師としては異色の経歴の持ち主。ショウナンパンドラは国内最高峰GIレース「有馬記念」(27日、中山競馬場)にも出走する予定で、大きな期待が寄せられている。

 「帯広は第2の故郷。馬術部時代がなければ今の自分はない」と語る高野さんは中学生の頃、競馬好きの転校生の影響で競馬ファンになった。高校卒業後、当時JRAの寄付講座として「総合馬学講座」(1996年に閉講)を開講し「全国の国立大で唯一、馬について学べる大学」という触れ込みで学生を募っていた帯広畜産大に進学した。

 大学では馬術部に入部。「学生時代というより『馬術部時代』」(高野さん)というほど部の活動に打ち込んだ。学生馬術の強豪大学では、幼少の頃から乗馬・馬術を習う選手が所属し、専属コーチが馬の調教や調整を行う。畜大馬術部は馬術未体験の部員も多く、OBの助言を受けつつ部員が馬の調教・世話を行う。高野さんも入部して初めて馬にまたがった。恵まれた環境とはいえなかったが、「逆境であればあるほど燃えるのは馬術部時代があったから」。

 大学卒業後、ノーザンファーム(胆振管内安平町早来)に勤務していたOBを頼って就職。同ファーム空港牧場(苫小牧市)で働き、ステイゴールドなどの有力馬にも携わった。3年間の勤務後、競馬学校の試験に合格し、2002年に栗東トレーニングセンター(競走馬の調教施設群)の松田国英厩(きゅう)舎に入り、厩務員や調教助手を務めた。

 松田厩舎は日本ダービーを制したキングカメハメハ、GI4勝のダイワスカーレットなど超一流馬を管理する名門。松田調教師の薫陶を受け、競走馬調教の最前線でもまれながら10年に調教師免許を取得、翌年3月1日に独立開業した。

 昨年、ショウナンパンドラが3歳牝馬限定GIの「秋華賞」に勝利。馬、調教師にとって初の重賞・GI制覇だった。迎えた今年のジャパンカップ。池添謙一騎手が騎乗し、最後の直線で驚異の粘りを見せ差し切り勝ち。高野さんは「残り100メートルは、5、6秒の間で声がかれるほど叫んでしまった」という。

 ショウナンパンドラは有馬記念のファン投票で5位になり、優先出走権を獲得。13日に出走登録した。

 30代の高野さんは、調教師の中では最も若い世代の一人。史上最年少(42歳)での日本ダービー勝利調教師などの記録更新の可能性も残す。「今でも大きなタイトルを取った時には『畜大馬術部OBがやりました』と報告している。十勝の人のように粘り強く、畜大魂、馬術部魂で頑張るので馬とともに応援してもらえたら」と話している。
(大谷健人)

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