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水槽内でのサケ自然産卵に成功 十勝川さけの学舎

十勝川インフォメーションセンターの水槽と藤堂さん(右)、石垣さん

 十勝川と関わりのある市民有志のグループが、十勝川インフォメーションセンター(帯広市大通北2)の大型水槽でシロサケの自然産卵に成功した。水槽内でサケの自然産卵を、民間主体で成功させるのは全国的にも珍しいという。14日午前10時から同センターで、児童、親子連れを対象にした見学会を開く。

 このグループは「十勝川さけの学舎」(藤堂博代表)。十勝川の自然環境の豊かさををより多くの市民に感じてもらおうと、十勝川に関係する市民ボランティアや企業関係者ら14人で今年立ち上げた。

 今回の取り組みは、同センターで近年使用されていなかったAGS水槽を環境教育に役立てようと企画し、道開発局の協力を得た。十勝釧路管内さけます増殖事業協会から親魚の提供を受け、10月4日に雌雄各1匹を水槽に放し、同6日に産卵を確認した。

 水槽はろ過した水道水を循環させる仕組みだが、サケが産卵しやすいよう、砂利を詰めた底部から、水温を低くした水が吹き出すように配管するなど工夫を凝らした。

 水産庁さけますセンター帯広事業所の元所長で、この取り組みの指導役を務める石垣章さん(67)は「道内でもサケが自然産卵できる水槽があるのは、インフォメーションセンターを含めて3カ所だけ。道外にこうした施設はなく、民間で成功させたのは例がないのでは」と話す。

 水槽では他に、人工授精させた受精卵約2700粒を管理している。受精後1カ月を経過し、卵は発眼してきている。

 見学会は事前予約不要で、今後、ふ化したり、稚魚になったりした段階でも随時開く考え。来年5月には稚魚を十勝川に放流する予定だ。藤堂代表(68)は「十勝川は十勝の山と海をつなぐ大動脈。その自然の中の生命の循環を感じてもらい、子供たちが川に関心を持つきっかけとなれば」と期待している。(長田純一)

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  • 大型水槽内で産卵したシロサケの夫婦

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