日ハム5連勝 帯広2連戦初日
プロ野球パ・リーグ公式戦「北海道日本ハム-福岡ソフトバンクホークス」2連戦の初戦が14日、帯広の森野球場で行われ、2位日本ハムが初戦を白星で飾った。中田翔の執念の押し出し四球などで得た得点を、先発の吉川光夫、守護神・増井浩俊らが守り抜き3-2で勝利。これで今季3度目の5連勝とし、ゲーム差を2・5に詰めた。オールスター戦を控えた前半戦最大のヤマ場に、平日のデーゲームながら1万4118人が来場した。(岡部彰広、高津祐也、村田壮一朗)
日本ハムの栗山英樹監督は2戦目となる15日について総力戦を明言。10日の西武戦で10勝目を挙げたばかりの大谷翔平も、中継ぎ要員としてベンチで控える体勢で臨んだ。
◆中田翔、執念の粘りで四球押し出し先制点
帯広の森で昨年まで5年連続で本塁打を放ち、十勝のファンを喜ばせた中田翔が、今年も執念の粘りで場内を沸かせた。
三回2死走者なしから味方がつないだ打席だった。陽、中島卓の連打、田中賢の四球で満塁とし、ここで主砲の中田がバットを果敢に振っていった。「来る球を積極的に打つだけだった」。カウント2ボールからソフトバンク・武田の140キロ後半の速球をことごとくファウルし粘った。その間にすっぽ抜けたカーブなどでカウントは3-2に。ついには12球目が低めにワンバウンドし、先制となる押し出し四球をもぎ取った。「何が何でも何とかするという気持ちの表れが翔のファウル。4番のああいう姿でベンチは盛り上がった。ああいう姿は大事」。この場面を栗山監督は興奮気味の口調で振り返った。
この日は外野から本塁方向に吹く強い風があり、ファン待望の本塁打はなかった。大きな当たりは左方向へのファウルのみだったが、存在感をありありと見せつけた。「うちらしい戦い方ができた」。お立ち台こそ先発1失点の吉川と、初の帯広で貴重な追加点を挙げた岡に譲ったが、背中で語った活躍が誇らしげだった。
◆先発の吉川光夫、強風も味方に粘投、7勝目
日本ハムの先発吉川光夫は、粘りのピッチングで約1カ月ぶりとなる勝利で今季7勝目を挙げた。
試合中は強い風がマウンドからバッター方向に吹き荒れた。「変化球が曲がり過ぎたり、伸びたりする」という悪条件だったが、吉川は「風が吹いていないタイミングを意識して、ストライクゾーンの中で投げられた」と6回5安打1失点の力投。「二回に2本の本塁打性の打球を戻してもらった」と強風も味方につけた。
栗山監督から託された首位攻防戦の初戦。「負けられない試合だった。チームが勝つことが一番」と自らの活躍よりも、チームの勝利をまず喜んだ。
◆決勝打の岡大海、帯広初登場で活躍
帯広の森で初めてプレーした岡大海が決勝点をもたらした。相手に1点を返された五回裏の2死一、二塁で三遊間を破る適時打を放ち「打球はあまり良くなかったが、1点を取られた後だったのですぐに返すことができて良かった」。栗山監督も「(岡は)スケールの大きさを持っている。詰まってもこういう結果になる」と評価した。
10日の西武戦でも決勝点となるスクイズを決めるなど好機での勝負強さが光るが「チームがチャンスで回してくれている」と謙虚に話す。球場では試合前から岡への声援が飛び交う。15日が誕生日の岡が、試合後のヒーローインタビューで「あすも精いっぱい頑張ります」と話すと、大歓声が上がった。
◆工藤公康監督「投手の責任ではない」
七回に1点差に迫りながらもあと一歩届かなかったソフトバンク。工藤公康監督は三回の押し出しによる失点などについて「フォアボールは良くないが、トータルで3失点で終わっている。ピッチャーの責任にしたくない」と、先発した武田翔太、継投した森福允彦、森唯斗の投手陣をかばった。そして首位攻防戦の2戦目に向けて気持ちを切り替えていた。
◆始球式で牧野渉君、ノーバウンド投球に拍手
試合前の始球式でマウンドに上がったのは札内南小4年の牧野渉君(9)。「バッターが大きく感じたが、思いっ切り投げることができてよかった」と笑みを浮かべた。
ソフトバンクの本多雄一を相手に見事ノーバウンド投球を決めると、球場からは大きな歓声が湧き上がった。「あまり緊張しなかった。むしろ楽しかった」と大舞台で伸び伸びとピッチングを披露した牧野君は、少年団などには所属していないが野球が大好き。将来の夢は「岡大海選手のような、打って走って守れる野球選手になりたい」と話す。
◆野球少年、高校生選手興奮
「守備もバッティングもうまい。ハラハラの展開だった」。忠類アストロズの菅原広暉君(5年)、山田太一君(同)、森大翔君(4年)の3人は間近で見るプロのプレーに大興奮の様子。試合で投手も務める山田君は「ランナーを出しても粘り強く投げる吉川投手がすごかった。自分も参考にしたい」と笑顔で話し、「将来の夢はプロ野球選手」と他の2人と一緒に声をそろえた。
学校祭の振替休日を利用して観戦に来ていた清水高野球部の丸子滉聖君(17)は「(自分と同じショートを守る)中島卓也選手のプレーは全部すごい。プロの動きは全然違う」と感心していた。
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