白樺学園、大阪桐蔭に打ち勝つ 高校野球招待試合
【北見】春夏5度の全国制覇を誇る大阪桐蔭(大阪)が初来道しての招待試合(道高野連主催)が13日、北見市東陵公園野球場で行われ、春季道大会ベスト4の白樺学園が出場選手全員の15安打を放ち7-6で逆転勝ちした。白樺学園は3点を追う三回、大阪桐蔭の左腕エース田中誠也(3年)を攻略。打者11人で7安打を集中し6得点で一気に逆転。五回に一度追いつかれたが、六回2死一塁から加藤隆舗(同)の右越え二塁打で再びリードした。守っては先発登板の中野祐一郎(同)を継いだ河村説人(同)が5回2安打1失点と好投し、逃げ切った。大阪桐蔭は、春季大阪府大会の覇者。今春のセンバツ4強時とほぼ同じベストメンバーで臨んだ。14日にはセンバツ準優勝の東海大四(札幌)が臨み、0-6で敗れた。(岡部彰広)
大阪桐蔭
021210000|6
00600100×|7
白樺学園
白樺学園は3点を追う三回、矢尾板の中前打、川波の右前打で無死一、二塁とし、後藤の左翼線二塁打と池田の適時中前打で2-3。さらに加藤の死球で満塁とし、橋本の内野ゴロで同点に追いついた。続く河瀬の右前打で勝ち越すと、川村のセーフティースクイズ(記録は内野安打)や一死満塁から矢尾板の内野ゴロ間の得点などで6点を挙げた。同点に追いつかれた六回には2死無走者から池田の左前打に加藤の右越え二塁打で再度勝ち越し。これが決勝点となった。
先発登板の中野は4回を投げ6三振を奪ったが、制球難と7安打を浴びて大量失点。継いだ河村も代わった五回にいきなり押し出し四球を与えたが、六回以降は1安打投球。三塁を踏ませなかった。
大阪桐蔭は二回、四球と二盗で2死二塁から濱田の右中間三塁打、田中の適時右前打で2点を先制。三回にも四球を足掛かりに暴投と2連打で1点を追加した。逆転を許した四回には2死無走者から2安打と四球で満塁とし、吉沢が2点左前打。五回にも単打と3連続四球による押し出しで同点に追いついた。打ち損じでも野手の間を抜く速い打球や、高めの甘い球を確実に捉えるパワーあふれる打撃など強打の片りんを見せた。
◆国内盟主相手につなぐ打撃「収穫あった」
甲子園通算44勝10敗、勝率8割を超える国内高校野球の盟主を相手に、チームカラーの打撃で競り勝った。戸出直樹監督は「この雰囲気の中でつないでつないで-という打撃ができたのは収穫」と2週間後の夏の大会支部予選に向けて好感触を得た。
3点を追う三回、9番・矢尾板大河(2年)の痛烈な投手返しの中前打が口火に持ち前の集中打が飛び出した。続く川波俊也(3年)が初球を右翼線に運び一、三塁とすると、春季道大会12打数9安打と大当たりだった後藤博希(2年)が打球をたたきつけ、三塁手の頭上をバウンドして抜ける二塁打。1週間前の高知遠征で明徳義塾を完封した大阪桐蔭の左腕エース田中誠也(3年)からまず1点をもぎ取ったことで、チームは勢いに乗った。
さらに無死満塁から橋本球道(2年)の内野ゴロで同点に追いつくと、河瀬寛三(3年)の右前勝ち越し打、川村涼輔(同)のセーフティースクイズ。結局打者11人、7長短打で大量6点を挙げた。大阪桐蔭の西谷浩一監督は「畳みかけてくる攻撃は素晴らしい」と話し、センバツでクリーンアップだった濱田功平(3年)も「鋭くシャープな振りで低い打球を打たれた。そういうところは見習う部分」と舌を巻いた。
春季道大会の苦い経験を生かした。初戦の深川西戦では13安打を放ったが13残塁、6-4と小差の試合となった。準決勝の駒大苫小牧戦は11安打を放ちながらまたもや13残塁で今度は1-3で敗れた。足りなかった“あと1本”。大会後は2死三塁でのシート打撃などで1球に集中する勝負強さを磨き、バントなど小技の練習に時間を費やし、つなぐ意識を高めてきた。「憧れのチームと戦って、練習の成果を出せたのは大きな自信となった」(戸出監督)。
また「田中君はゆったり投げながら球が手元でぐっと来る」と、戸出監督は打者に早めの準備を指示。六回に決勝の二塁打を放った加藤が「投げる前から(自分の)軸足を意識した」と話すように、選手個々の対応力も高かった。
シード外の強敵が多い今季の十勝支部予選(27日開幕)に向けて視界が開けてきたが、2011年以来甲子園出場を逃してきた指揮官は慎重だ。「(大阪桐蔭と比べ)力強さはまだまだ。守備の球際の強さなど目の前で見た体験を生かして練習をしていきたい」と話し、さらなるレベルアップへ意欲を見せた。
◆河村投手好投「自信になった」
192センチ右腕の河村説人が、チームを勝利に導いた。
春季道大会では2試合9イニングを投げ6失点と精彩を欠き、肩を落とす姿が痛々しかった。この試合も、先発登板の中野祐一郎を継いだ直後の五回に左前打に連続3四球でいきなり失点。しかし次の回から力のこもった速球と縦横の変化球が決まりだすと、打たれたヒットは三遊間への内野安打1本のみ。大阪桐蔭の福田光輝主将(3年)は「背が高いし、動かしてくる球を持っている。大阪にはいない投手。いい勉強になった」と話した。
国内最強クラスのチームを相手に復活の好投を見せた河村は、最終回を2連続空振り三振で締めくくり、川波俊也捕手(同)とハイタッチ。「投げていて怖い打線だったが、抑えられたのは自信となった」と胸を張った。
一方、春季道大会で素晴らしいリリーフを見せた中野は、持ち前の速球で空振りを奪う半面、制球が定まらず、高めの甘い球を外野の頭上に運ばれた。「全部駄目。得たものは何もない。試合中に修正できずただ悔しさが残った。調子が悪くても試合をつくれるようにしなくては」と反省した。
◆3週連続遠征の大阪桐蔭、球際の強さ見事
大阪桐蔭は名古屋(愛知)、高知に続き今回が3週連続の遠征とハードスケジュールだったが、「遠征は毎年のことで、試合数も1日にこのぐらいはやっていますから」と西谷浩一監督。チームにはけが人などが戻り、午後9時までの練習をこなしながら夏の府大会に照準を合わせている最中だ。
白樺学園には敗れたが、国内高校トップレベルの攻守を垣間見せた。高めなど少しでも甘い球があれば外野の頭を越える大きな打球を放った。ゴロも速く、野手間をたちまち抜けていった。守備も外野が“甲子園仕様”の深めの守りの中、フェンス際や前に落ちる球のダイビングキャッチなどファインプレーを連発。内野もどんな体勢になっても、捕球から送球への動きによどみがなかった。白樺学園の戸出直樹監督は「あの球際の強さやハンドリングなど道内のチームにはない」と脱帽した。
中学時代に硬式チームで活躍してきた選手がそうろうスター軍団だが、おごりはない。3番・藤井健平右翼手(3年)が「6点を取られたときは相手に流れがいって守りづらかった。(白樺学園に)勢いも感じた」と遠征での実戦経験を大事にしながら、要所での1球に対する集中力をさらに高めていた。
(13日)
大阪桐蔭
215010100|10
000200000|2
中標津(釧根)
(14日)
東海大四(札幌)
000000000|0
00010230×|6
大阪桐蔭
北見工(北見)
000000 |0
242040×|12
大阪桐蔭
(雷雨のため六回裏途中打ち切り)