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伝統の“旬”手摘み 広尾フノリ漁スタート

伝統の手摘みで籠に集められたフノリ(9日午前10時20分ごろ。塩原真撮影)

 【広尾】町内の国道336号(黄金道路)沿いの海岸で9日午前9時半、フノリ漁が始まった。漁業者が伝統の手摘みで旬を届けようと、押し寄せる冷たい波に立ち向かっている。

 広尾のフノリ漁は熊手などの道具を使わない。丁寧に手作業で摘み取られたフノリは砂などの付着が少なく、高級品として定評がある。3月ごろまでの「はしり」の時期は生で出荷され、独特の軟らかな歯応えが特徴。みそ汁、酢の物、天ぷらを楽しむ食材として親しまれている。

 例年2月ごろに始まる厳冬の風物詩。今年は潮目に恵まれず、しけの影響もあって例年よりも3週間ほど遅れ着漁した。初日は約200人の漁業者が泉浜海岸などで岩場に付いたフノリを籠やざるに入れていた。漁は潮が引いている3時間限定。それでも多い人は30キロほど集めたという。

 40年近く従事している70代の女性漁業者は「漁期が遅れた分だけ少し長く伸びているが、歯応えは上々。おいしく食べてもらいたい」と話していた。漁は6月ごろまで続く。

 広尾漁協女性部(柏原絹子部長)などは毎年6月にフノリ胞子を磯に散布するなど、資源維持にも努めている。(関根弘貴)

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