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坂の上のラーメン店「三平」 まちマイ芽室編

「三平」の味を芽室で提供する西渕さん

 中心市街地が比較的コンパクトにまとまっている芽室。その一方で、郊外には自然豊かな環境にほれ込み営業を続ける個性的な店や、立地を生かした施設がたくさんある。それぞれのこだわりを聞いてみた。

 道道豊頃糠内芽室線を芽室の市街地から南下していくと、右手に約9キロ続く10線防風林。その途中にあるJAめむろ坂の上店北側に、赤地に「三平」の手書き看板が現れる。

 三平と言えば、かつて帯広市中心部の映画館「キネマ館」にあり、みそラーメンで知られた人気ラーメン店。市内などにのれん分けした店が多く存在する。「三平坂の上店」の店主西渕寿さん(47)は、帯広調理師専門学校を卒業後、18歳から2年ほどキネマ館の店でベテランの店員に混ざって働いた。

 その後、南町店で20年働き、3年前に退職。昨年2月に実家の一角で店を開いた。「いずれの店も常にお客さんが入り、休む間もなく忙しかった時代を経験した。その味に少しでも近づけたい」。

 アジなど魚介類をベースにしたスープに、前日の夜に手打ちして一晩寝かせた麺を絡ませる。“三平の代名詞”のみそラーメンは、みその酸味を際立たせた。

 実家はかつて日用品を扱う「西渕商店」を経営。閉店後に西渕さんの母が自宅の一部を食堂として営んでいた場所で、昨年の開業前に棚や机を自ら改装した。

 近隣の農家が農作業の合間に足を運び、三平の味を知る客も訪れる。「市街地から遠く、麺が数量限定なので来てもらったのに売り切れでは申し訳ない。毎日午前11時から営業しており、早めに来ていただけると…」。西渕さんの優しさが伝統の味に深みを増す。
(深津慶太)


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