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ルポとかち「未来見据える確かな目 北の高校生会議に密着」

夜ゼミで僻地医療の現実を伝える竹中さん(右)

 政治や社会が抱える問題について高校生の視点で話し合おうと、帯広柏葉高2年の竹中理紗さん(17)=清水町在住=ら道内の高校生5人が初めて企画した「北の高校生会議」が6~8日、上川管内美瑛町の国立大雪青少年交流の家で開かれた。高校生たちが日本の現在や未来をどう考えているか知るため会議2日目から白熱した討論が交わされる現場に密着し、未来を見据える確かな目に触れた。(松田亜弓)

へき地医療、貧困…議題尽きず
意見はさまざま

 記者が取材を始めた2日目の夜、同会議のコンセプト「夜明けまで語ろう」のメーン企画「夜ゼミ」が行われ、「高校生の視点から考えるへき地医療」を議題に提案する竹中さんの姿があった。

 竹中さんはへき地で1人で勤務する医師の精神的、肉体的負担などを取り上げ、将来は医療の仕事を志していること、また自身が清水町で暮らす中で、大きな病院が近くにないという不安からへき地医療に興味を持ったことを発表した。

 これに対し、参加した生徒からは「負担を減らすための制度は」「医師が数年置きに変わると患者とのコミュニケーション不足が心配」と活発に質問や意見が寄せられ、旭川大学高1年の三澤絵梨さんは「看護師を目指している。へき地で働くことは考えていなかったので興味が湧いた」と関心を高めた様子だった。

 この「夜ゼミ」は生徒が自ら興味のあるテーマを事前に用意した他、初日の議論で時間が足りず十分に話し合えなかった議題を持ち込んで行われ、竹中さんは「医療系に進まない人でも、(へき地医療は)北海道民に身近な問題。みんなで問題を共有すると、いろいろな意見が出て楽しい」と収穫の大きさを実感していた。

 話し合いは6班に分かれて行われたのだが、北方領土問題や世界の貧困、高校生の教養など議題は尽きず議論は熱を帯びたまま朝の4時まで続いた。

すべて学生運営
 今回の会議は「自分たちが世の中で何ができるか話し合える“機会”と“場”をつくろう」と、田中駿介君(旭川東高2年の)と秋山真路君(札幌国際情報高2年)を中心に昨年9月に始動した。旧知の間柄だった2人が交流行事などを通じて知り合った3人に呼び掛け、日程や会場準備、会計、当日の司会など、すべての運営を担当した。

 学校があるためみんなで集まれず、インターネット電話サービスのSkype(スカイプ)などで話し合いを進めてきた。参加費の負担は公の施設を利用することで安く抑え、寄せられた募金も活用した。

 参加者はホームページや新聞などを通じて募集し、札幌、旭川、函館など16校から35人(十勝からは竹中さん1人)が呼び掛けに応えた。「地域活性化や貧困、原発…日本や世界が抱える問題を広くみんなで考えたかった」と田中君。有識者や志望者がプレゼンを行い、ディスカッションをする「とにかく話す」15のプログラムを用意した。

 道内の高校生が一堂に会し、2泊3日の日程で討論する。取材をして驚いたのは、質問や意見が絶えることがないどころか、ひとつの議論から次々と新たな議題が生まれたことだ。「高校生だからできない」ではなく、「高校生だからこそできること」を考える彼らの目は北海道や日本の将来を見詰めていた。

価値観変わった
 会議を終えた竹中さんは「いろいろな個性を持った人がいて、自分の世界や価値観が変わった。できた絆を大切にしていきたい」と成果を振り返った。未来を担っていく彼らに期待を感じずにはいられないとともに、さほど違わない世代として、記者も時間を忘れて話し合ってみたいと思った。


◆北の高校生会議について
北の高校生会議2015-公式ホームページ
北の高校生会議-公式Facebookページ
社会問題テーマに語り明かそう 北の高校生会議-十勝毎日新聞電子版(2014/12/02)

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