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十勝沖に大規模鉱床か 期待のメタンハイドレート

海底の地盤に貫入させ、採泥管で海底堆積物を採取した「重力式コアラー」(北見工大提供)

 北見工業大が十勝沖で次世代エネルギー源「メタンハイドレート(MH)」の存在につながる現象を発見したことに、管内外の関係者から注目と期待が集まっている。同大は「周辺海域で調査を継続することで、大規模なMH鉱床を発見できる可能性がある」としている。

 研究は同大環境・エネルギー研究推進センターの「表層型メタンハイドレート研究ユニット」(代表・山下聡教授)が実施。音波探査や海底堆積物を採取する「重力式コアラー」によるサンプリングにより、メタンが気泡となって上昇する「メタン湧出フレア」を確認し、メタンの分解で生じる鉱物を発見した。

 海域は十勝沖約80キロで水深は500~2000メートル。音波探査で500キロの海底地形を観察し、フレアは高さ約700メートルの巨大なものなど、約20本を発見した。同大は「海底表層堆積物中に高濃度のメタンが存在する証拠。表層型MHが多数地点で存在する可能性が高い」とし、現在サンプルの詳細な分析を行っている。

 十勝沖を含む北海道太平洋海域では、以前からMHの存在は予測されていたが、具体的な現象の確認は初めて。海底から200~300メートル下の砂層に含まれるMHを研究する独立行政法人産業技術総合研究所「メタンハイドレート研究センター」(札幌)の成田英夫センター長は「湧出がなければ表層MHはできない、下にある程度のメタン源があるということ」と話す。

 砂層型のMHは井戸を使った減圧法でガスを取り出す試掘に東海沖(東部南海トラフ)で成功し、経産省は平成30年代の商業化を目指している。一方、海底面にMHが現れる表層型は、現在同省が日本海を中心に調査を進めており、安定的で環境に配慮した生産方法の確立が課題という。

 2003年から国にMHの開発要望を続けてきた広尾町の村瀬優町長は「十勝沖のMHの存在が示されたことは大きい。広尾・十勝港がMHの拠点としての役割を担えるよう、国に調査開発の要望を継続していく。十勝港への企業誘致や新たな航路開発につながると考えている」と期待する。(小林祐己、関根弘貴)


◆メタンハイドレートについて
メタンハイドレートとは何か?-メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム

◆十勝沖メタンハイドレートについて
十勝沖メタンハイドレート、開発要請に本腰 広尾町-十勝毎日新聞電子版(2012/09/01)
広尾町もメタンハイドレートに期待-十勝毎日新聞電子版(2013/03/14)
「新エネ大国」 未来開く-十勝毎日新聞電子版(2014/01/01)
十勝沖でメタンハイドレート確認 北見工大が発表-十勝毎日新聞電子版(2014/12/10)

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