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おいしさ守る厳しい目 更葉園のおとぷけ納豆 まちマイ音更編

1カップ当たりの納豆の量を調整する利用者。こだわりの作業が続く

全国特別賞も 利用者、製造に情熱

 納豆の製造技術改善と品質向上を目指す「全国納豆鑑評会」で、2011年に特別賞を受けた社会福祉法人更葉園(町東通13、比留間正二理事長)の「おとぷけ納豆」。粘りが強く、しっかりとした大豆の風味が味わえる一品だ。施設利用者が一つ一つ丹精込めて仕上げる、納豆作りの現場をのぞいてみた。
(伊藤亮太)

 おとぷけ納豆の製造は、豆の一大産地である十勝の施設ならではの試みとして職員が発案し、08年に始まった。従来から行っている管内町村の指定ごみ袋やせっけんの製造、印刷事業などと同様、利用者の自立と就労を目指す取り組みの一つだ。身体、精神、知的の各障害のある利用者が作業に励んでおり、納豆製造には19~78歳の15人程度が関わっている。

 豆は「とよまさり」と呼ばれる品種を使用。計量や納品先の確認などは職員が行うが、大豆の洗浄や蒸す作業、納豆菌の散布、発酵や熟成など大半の工程は利用者が担う。中でも神経を使うのが「豆より」。更葉園では全工程の中に2回の豆よりを組み込み、利用者がピンセットを使いながら、虫食いや、つぶれのある豆などをより分ける。

 納豆製造に携わって5年になる富樫和浩さん(22)は「お客さんにおいしく食べてほしい」と、細かな豆の異常も見逃さない。わずかにつぶれた豆でも「味は変わらないが、食感が変わってくることもある」とこだわり、納豆製造に懸ける情熱を感じさせる。

 そうして作られるおとぷけ納豆は、全国納豆鑑評会で特別賞を獲得。製造責任者の秋吉隆詞さん(37)は強い豆の風味が特徴とした上で、「豆の味を感じてほしいので、たれは付けていない」と自信を見せる。

 1日に約400パックが製造され、十勝管内のスーパーで購入することができる。昨年はこれまでの中粒以外に、新たに小粒の販売も始めた。価格は中粒、小粒とも3パック1セットで135円。更葉園では「十勝産、道産の大豆を使い、消費者に喜んでもらえるよう、一生懸命作っている」とPRしている。

 

「おとぷけ通り。」で提供している納豆メニュー。左上が「納豆まぜまぜソフト」

やみつき「納豆ソフト」
 おとぷけ納豆は更葉園の敷地内にある直営店「おとぷけ通り。」で購入できるほか、同店内の喫茶スペースでも納豆パスタや納豆チーズトーストなどとして提供している。中でも異彩を放つのがソフトクリームと合体させた「納豆まぜまぜソフト」で、一度食べてリピーターになる人も多いという。

 純白のソフトクリームに寄り添う納豆。「白飯にかかっていれば見慣れた光景だが…」とつい、身構えてしまう。よく混ぜて食べるのがポイントとのことなので、言われた通りに混ぜてみる。すると、納豆がソフトクリームと一体化して粘りを持ち、トルコアイスのように伸び始めた。

 「どんな味なのか」。恐る恐る口に含むと、驚いたことにキャラメルの味がする。「納豆のしょう油とソフトクリームの甘さがマッチして出る味」と、更葉園の伊藤敬子さん(51)。

 1個につき納豆は1パック分、使われているが、ソフトクリームの冷たさであっさりと食べられる。伊藤さんは「夏ばてで食欲がないときには、食べやすくて栄養も取れる」と話す。

 「おとぷけ通り。」は水曜と祝祭日が定休。営業は午前10時~午後5時。「納豆まぜまぜソフト」は260円で提供している。問い合わせは同店(0155・42・2236)へ。
(伊藤亮太)


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