息吹く十勝 春耕
【芽室・音更】深かった土壌凍結も徐々に解け、十勝の春の農作業が始まった。16日、芽室町内ではジャガイモの種イモの植え付けが始まり、同町や音更町では春まき小麦の種まきが行われるなど、農家が豊作を願いながら作業に力を入れている。(高田敦史、眞尾敦)
芽室町新朝日の畑作農家中川勝弘さん(53)は、昨年より4日遅れでほぼ平年並みの16日から、ジャガイモの植え付けを開始した。
「今年は雪が少なくて土壌凍結が深かった」と中川さん。例年通り数日前から土を軟らかくする作業を始めたが、例年に無く氷の塊が多く出てきたという。それでもここ数日の陽気で氷も解け、この日はサラダなどへの加工適性が高い「ワセシロ」を植えた。
中川さんの農場では、経営面積88ヘクタール中、21ヘクタールで加工用ジャガイモを作付ける予定。中川さんは「畑がしばれて野良イモの発生は少なそう。秋まき小麦の成長もまずまず」と話した。
今年度の畑作物の作付指標面積では、十勝のジャガイモの作付面積は前年度比178ヘクタール増の2万4251ヘクタールで全道の41・7%。
十勝管内で近年、作付面積が増えている春まき小麦の種まきも本格化した。音更町音更西3線の大野基志さん(41)の畑では、まだ深い部分の土壌凍結は残るものの、昨年より1日遅れで種まきを始めた。
種と肥料を詰め込んだ播種(はしゅ)機をトラクターで引き、畑に縞模様を描きながら往復した。
品種はパン用強力系の「春よ恋」。約5ヘクタールの種まきは2日間かけて行う。収穫は8月中旬ごろを見込む。
大野さんは「深い部分に凍結があるので深く起こさないように整地してから種をまいた。昨年は秋まき小麦に長雨の被害もあったので、無事に育ってほしい」と話していた。
春まき小麦は秋まきを含めた十勝全体の小麦作付面積の1%程度。