自分史つづったエッセー集発刊 紫竹昭葉さん
紫竹ガーデン(帯広市美栄町)社長の紫竹昭葉(あきよ)さん(86)のエッセー集「咲きたい花は、かならず開く」が、KADOKAWA メディアファクトリー(東京)から出版された。花との関わりだけではなく、幼少の頃の思い出や最愛の夫の死、交通事故など波瀾(はらん)万丈の人生を記した内容となっている。
紫竹さんは1927年、帯広生まれ。今回のエッセー集では、帯広の豊かな自然で花を摘んで遊んだ子供時代や東京での専門学校時代に大空襲に遭った恐怖、56歳のときに4歳上の夫の勲さんを亡くし絶望のふちに突き落とされた悲しみなどをつづっている。
ガーデンを造るきっかけとなった夫の死について「数年間は毎日泣き暮らしていた。私自身が楽しみ、誰かが楽しく、社会にとって何かしら意義のあることで、私にしかできないことを必死で考えたときに花を植えて育てること」に行き着いたとしている。来場者が少なく従業員の給料支払いもままならない開園当初の苦労や、農薬や水を与えず花の生きる力を信じて育てる信念も披露した。
13年ほど前に富山県の上空でヘリコプターから同ガーデンで育てた20万本のバラを降らせたエピソード、27歳で総入れ歯となったことなど、「庭造りだけではなく、私の性格がよく分かる自分史のようなもの」(紫竹さん)となっている。
2012年末にKADOKAWA メディアファクトリーの社員が偶然、紫竹さんを取り上げたテレビのドキュメンタリー番組を見て興味を持ったことが発刊のきっかけ。話を受けた紫竹さんは昨年2月ごろに執筆を始めた。四六判、184ページ、1260円。帯広市内では喜久屋書店/ザ・本屋さん、宮脇書店などで扱っている。
紫竹さんの本は、昨年11月にも「紫竹おばあちゃんの夢ノート」(日経BP社刊)が発刊され、話題を呼んだ。(北雅貴)