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のびのび“越冬”おびひろ動物園 暖房管理や日光浴、寒さ順応も

たくましい冬毛で覆われたフタコブラクダのボス(雄)の体調をチェックする柚原副園長。厳寒地の動物園ならではの知恵と経験で温かい地域原産の動物たちを飼育している

 連日厳しい寒さが続く中、おびひろ動物園(緑ケ丘2、高橋利夫園長)では、飼育展示される動物たちが十勝の「しばれ」の中で元気に暮らしている。開園50年で培った同園飼育スタッフの知恵や経験に加え、暖かい地方が原産の動物たちも冬毛や脂肪を蓄えるなど、“十勝仕様”で防寒対策している。最も冷え込む時期に、「日本で最も寒い」(同園)動物園の舞台裏を探った。

朝まで見回り
 同園には74種・373点の動物が飼育されている。うち3分の2の動物は冬期間に暖房が必要で、各獣舎は専用の暖房を稼働させている。故障による気温降下は動物にとって命に関わる。夜間~翌朝は、警備員が4回にわたり各獣舎を見回り、暖房器具に異常がないかや動物の状態を確認する。多くの動物は就寝中だが「懐中電灯で照らされて安否確認を受けるのも慣れたもの」(同園)という。

フラミンゴ舎の保温に活躍する昔ながらのストーブ

 昭和年代に建築された獣舎も多いため、獣舎の熱効率を上げる工夫も欠かせない。ビニールで隙間風を遮断、適温の15~25度程度を確保する。カンガルー舎は床暖房の場所があり、ごろりと横になり過ごす姿も。フラミンゴ舎では、自動温度調節の暖房機が、飛散する羽毛が原因で故障するため使えず、昔ながらの灯油ストーブを職員がこまめに温度調整している。

転倒に要注意
 冬ならではの飼育の苦労は多い。動物が凍結した地面で滑って転倒し、けがをしないよう除雪を徹底。キリンなど脚の長い動物の場合は特に気を使う。屋外のふんはまたたく間に凍り付き、石のように固まるため、つるはしで割って処理する。乾燥対策も人間と同様で、皮膚がひび割れがちなカバのダイ(雄)には、保湿効果があるワセリンを塗布する。

 一方、屋外の展示スペースより狭い獣舎に閉じこもってばかりでは、ストレスや健康面でも悪影響が懸念される。定期的に日光浴をさせて「くる病」(日射量不足などによる骨格異常)を予防。冬は動きが鈍くなる動物が多いが、起立させてけがや異常がないかを常にチェックしている。

びっしりと毛皮に覆われたアメリカバイソン。白い息を吐きながら屋外で過ごす

体毛が毛布に
 「帯広暮らし」が長い動物たちは、徐々に寒さに順応している。冬場のアメリカバイソンたちは、あごから胸元にかけて体毛が毛布のように覆われ迫力十分。アミメキリンのムサシ(雄)とリボン(雌)、インドゾウのナナ(雌)も、日中は果敢に屋外に出ることが多く、雪景色をバックにたたずむ「冬の動物園」ならではの光景も見られる。

 初めて十勝で越冬するアムールトラのマオ(雌)、ホッキョクグマやアザラシなど、冬が得意な動物たちが躍動するのも見ごたえがある。生き生きと動き回る様子が、道外からの来園者を楽しませている。柚原和敏副園長は「オシドリ、フラミンゴ、ペリカンなど鳥類は冬の羽毛が非常に鮮やかできれい」と話す。

ゴマフアザラシは冬でも元気いっぱい。脂肪を蓄えるために冬場の餌の量は夏期の1日5キロから8キロに増える

 2009年度から本格開始の冬季開園(2月23日まで、毎週土・日曜・祝日)は定着し、1日平均で250~400人ほどが足を運ぶ。今月31日~2月2日の「おびひろ氷まつり」期間中も開園し、2日にはニホンザル舎で豆まきなどのイベントも予定している。柚原副園長は「寒さも楽しみながら、冬ならではの動物の様子を見てほしい」と話している。(原山知寿子)

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