雪不足、野良イモは防止も小麦不安
十勝では近年にない雪の少なさが、農業にも影響を与えそうだ。収穫で残ったジャガイモが凍結せず、翌年に雑草化する「野良イモ」は、積雪による保温効果がないことで防止につながる半面、小麦は凍結しすぎると根が切れ、雪解け以降の生育に影響が出ることもあるため、懸念する農業者もいる。
帯広測候所によると、帯広市内の積雪は17日現在で平年の約3分の1の12センチ。最低気温は14~17日の4日間、氷点下11・9~16・8度と冷え込み、平年よりやや低めに推移している。
芽室町内で小麦やジャガイモなどを約40ヘクタールの畑で栽培する男性(50)は「雪が“布団”のような役割をするが、今年はない。この時期に畑の土が見えるのは記憶にない」と驚く。例年だと、野良イモの発生を防ぐため雪の厚さを薄くして土壌を凍結させる「雪割り」作業がこの時期、本格化するが、「降り始めの昨年に少し行っただけで、全くしていない」という。
一方、小麦については「多少の生育遅れは問題ないが、回復できないほど根が切れると枯れてしまう」と不安をのぞかせる。
秋に6割、春には土の中に残した4割を収穫するナガイモも、凍結の影響が心配される。帯広市川西長いも生産組合の組合長も務める同市広野町の児玉知秀さん(52)は「あまり深く凍結すると、少し心配だ。そこまではいかないと思うが、春まで無事でいてほしい」と願う。
十勝農業改良普及センターは「野良イモは最近、暖冬で問題になっていたので、雪割り作業の負担は軽減される。病害虫による被害も凍結で少なくなるのでは」とし、小麦についても「寒さに強い作物なので大丈夫ではないか」とみている。(眞尾敦)