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生き物とともに…注ぐ愛 まちマイ池田編

 池田町清見にある2戸の羊牧場。用途も規模も育て方も大きく異なるが、変わらないのは動物に対する愛情。動物とともにある暮らしの一端を紹介する。

たくさんの羊に囲まれる忠二さん(左)と黎子さん

【羊】 癒やしと出会いに囲まれ
スピナーズファームタナカ 田中忠二さん 黎子さん 祥子さん

 帯広方面から池田市街の踏切を渡り、真っすぐ坂を上っていくと、「メーメー」とかわいい声がこだまする。スピナーズファームタナカ(町清見)を営む田中忠二さん(77)、妻の黎子さん(74)、娘の祥子さん(43)は、たくさんの羊に囲まれ癒やしの生活を送る。

 羊毛生産を目的に牧場を始めたのは「未(ひつじ)年」の1991年。かつて帯広で地理・歴史の中学校教諭を務めていた忠二さんが、エジプトや中国など世界各国を見て回った際に牧場で飼っている羊の姿を目にした。子供の頃に羊を飼っていたこともあり、「懐かしい。また飼いたいな」と思ったそう。

 忠二さんの父が農業をやめたのをきっかけに、チェビオット4匹とコリデール2匹の羊との生活が始まった。今ではシェットランドやジャコブなど国内では珍しい9種約50匹の羊を飼育している。

 「付きまとうように近づいてきて何とかしてくれというそぶりを見せられるとほっとけない」(忠二さん)、「おとなしくて人懐こく、癒やしになる」(黎子さん)、「見ているだけで飽きない。人見知りの羊がいたり、それぞれ違うところもかわいい」(祥子さん)と3人とも羊を心から愛する。

 牧場では羊毛の販売の他、編み物教室なども行っている。「羊がいることでたくさんの人との交流も生まれ、喜びや感動を分かち合える。楽しい思い出がいっぱい」(忠二さん)と羊への感謝の気持ちも忘れない。(津田恭平)



牧場経営を支えるボーダーコリーと安西社長

【牧羊犬】 不可欠な〝労働力〟
ボーヤ・ファーム 安西浩社長

 羊肉生産牧場のボーヤ・ファーム(町清見、安西浩社長)では、安西社長が独学で育てた牧羊犬を1991年から使っている。夏の間に行われるシープドッグショーには全国から観光客が訪れ、レベルの高さはネットを通じて海外からも注目が集まる。

 牧羊犬というとメルヘンチックなイメージを抱きがちで、ややもすると「ショー目的か」と思われるが、同牧場ではれっきとした労働力として活躍している。起伏に富んだ約100ヘクタールの場内で、850匹の羊を4人の人員で飼育するには、犬の存在が不可欠。今後2000匹規模まで増やす計画だが、安西社長は「それも犬なしでは不可能」と全幅の信頼を寄せる。

 国によっては、羊にかみついた牧羊犬はその場で射殺されるという厳しい世界。安西社長の訓練も生易しいものではない。「やつらはずる賢い。一度失敗を見逃すと、途端に言うことを聞かなくなる」。犬を信頼しつつも、無闇に甘やかしたり褒めたりしないのが安西流だ。

 同牧場で現在働くのは6匹でほとんどがボーダーコリー。動く物を追う本能が強く、羊を追いかけるのは大好き。訓練を通じてこれを仕事だと認識させ、人間の思い通りに羊を誘導するように育てる。センスのいい犬は無闇に羊を追わず、右、左と細かい指示を出さなくても、自分で考えて羊を集めてくるという。そんな犬と出合い、完璧を追い求めるのが安西社長の楽しみだ。(丹羽恭太)

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