沖縄まで歩いて健康に ユニーク歩行リハビリ 幕別
【幕別】目標は日本縦断、沖縄到着-。町社会福祉協議会(清水雅会長)のデイサービスセンターでは、歩行リハビリで施設内を歩いた距離を道路に見立てて、沖縄を目指すというユニークな実践を続けている。1周130メートル、100周で次の目標地点に移動するスタイルで、「沖縄」まで歩くと650キロ、およそ実際の距離数の10分の1に相当する計算だ。利用者の意欲を引き出し、健康寿命の向上に一役買っている。
「福島に到着、東北を制覇しました。次は関東に入ります」。デイサービスセンターの梅本麻里子主任生活相談員は14日の朝の会の席で、約20人の利用者を前に、三好幸子さん(86)=町猿別=に大きな花束を渡した。
同センターは2011年8月、同センターがある町保健福祉センターでウオーキング活動を始めた。健康維持や体力に自信がない高齢者のリハビリとし、心肺機能の向上や筋力をつけるのが狙いだ。
施設内の廊下は1周130メートル。「単に歩くだけでは飽きてしまい、利用者の意欲を引き出せない」(梅本主任)。100周歩くと幕別から釧路までの10分の1ほどの距離であることから、「釧路に到着」としたことになる。「目標はより大きい方がいい」と、最終目的地を沖縄に設定し、100周ごとに賞状と花束を渡している。
同協会の計算では、全国縦断の距離数は6000~7000キロほど。道内4地点を含む50地点を回ると実際の10分の1ほどになるという。最初は9人からスタート。旭川、札幌、青森と到着するたびに利用者を表彰し、参加者も増えて現在は68人。利用者の7割以上が参加している。
現在、トップの人は栃木など関東圏にまで到達している。足腰が悪く、以前は歩行器でも1周するのがやっとだったという三好さんは、今では歩行器を使って1日10周近く歩けるようになった。「父の出身地である福島まで到達できた。自分のためではあるが、次は弟がいる神奈川まで行くのが目標」と笑顔。2年前から参加する加藤秀雄さん(89)=町緑町=は「自分の家の中でもよく歩くようになった」と話す。
梅本主任は「確実に体力強化につながっている。今後も健康寿命を延ばす一事業として無理なく続けたい」としている。(佐藤いづみ)