中心部空洞化に危機感 新藤丸、建て替えから改修に短期間で転換
百貨店・藤丸の再建に取り組む新会社・藤丸株式会社(帯広市、村松一樹社長)が2日、建て替え有力案から現施設を活用する方針に転換した理由の一つに、帯広中心部で大型店不在が長期化することへの強い危機感がある。方針が二転三転することによるイメージ低下のリスク以上に、少しでも早い営業再開が地域経済や藤丸の運営にもプラスになると判断した。
「早期再開を求める市民の声がある。今年の(中心部)歩行者通行量でも、特に昼間の数字が良くなかった。藤丸の影響と分析されており、このタイムラグをできるだけ短くしたい」
村松社長は同日の記者会見で、方針転換への思いをこう説明した。建て替えに比べ、最速で1年前倒しの2025年秋にも営業再開が可能になるという。7月下旬に帯商が発表した同調査では藤丸南側が平日で前年比7割減、広小路など周辺地点も減少していた。
昨年12月設立した新会社は当初、既存施設の耐震改修を計画していたが、1月末に旧藤丸が閉店した直後、建て替え案も選択肢に加えたと発表。さらに5月の会見では3~5階の商業施設を建設し、26年度中にも営業を再開するなど、建て替えが有力としていた。
再度、改修方針としたのは「(建築士による)構造計算では、思ったよりしっかりしているとの報告を受けた」(村松社長)ことも大きいとする。短期間での方針変更で事業への信頼を問う趣旨の質問も寄せられたが、村松社長はこうした報告などを挙げ、「半年間走りながら事業を進めており、その時々の優先順位で説明してきた」などと理解を求めた。
同じく中心部にある長崎屋帯広店も、来年3月には閉館する方針が示されている。帯商によると、市内大型店売上高は藤丸閉店後、藤丸分がほぼすっぽり抜けた状況が続き、ネット通販や札幌圏への消費流出などが指摘されている。村松社長は「藤丸(再建)は社会性や公共性が高い」と強調。改修でも30億円とされる事業費用の確保とともに、10月にも示される施設概要案が注目される。(佐藤いづみ)