農に向き合う~農業経営部会会員紹介「帯広・ときいろファーム」
1.ベリーなど小果樹を栽培、加工。摘み取り農園も
帯広市の郊外、岩内町の山間で果樹園を経営する。育てるのはラズベリーやハスカップ、ブルーベリー、シーベリーなど小果樹が中心。除草剤や化学肥料は使わない有機の果実で、道内外の菓子店や飲食店などに出荷している。また自社でスムージーなどジュースなどに加工し、物産展やイベントに出向いて販売。夏季は果樹園を摘み取り園として開放している(予約制)。
主力はラズベリー。味や色、収穫時期が異なる8品種を育てる。国内で流通するラズベリーは米国などからの輸入品が97%を占め、国産はわずか3%ほど。産地は北東北から北海道に限られ、「国内でこれだけの品種を食べ比べられるのはここだけでは」と鴇崎代表は語る。希少な無農薬の国産ラズベリーには引き合いやリピーターが多い。デリケートな果実で気象環境に出来、不出来が大きく左右されるだけに、農園ではブルーベリー、ハスカップと合わせた「三本の矢」で経営している。
2.希少無農薬ラズベリー
畑を所有した前のオーナーが無農薬で農業をしていたことや、鴇崎代表が前職の農業系商社で有機食品にかかわっていたことから、有機栽培の選択は自然だった。農薬だけでなく化学肥料も使わないこだわりで育てる。当然、雑草が生えて病害虫のリスクもある。年3、4回は手作業で草刈りをするが、それでも樹木の間は夏場はすぐに草が生えてくる。ただ土中の微生物が活発になることで品質の良い果実ができる研究成果もある。ラズベリーは夏場のカビに弱く、収穫期に雨が続くと出荷できないこともある。「やるべきではない」と周囲に言われたこともあるが、ジューシーで安心安全な国産ベリーの需要は増えている。鴇崎代表は「何よりベリーが好きだから」と語る。
3.多くの人に旬の味を届けたい
物産展やキッチンカーではラズベリースムージーなどを販売する売り子に徹するが、「メーンは農家。いかに良いものをたくさん育てるのが基本」ときっぱりと語る。国産ラズベリーは「品質が良ければ全て売れる」というほど需要はある。「3本の矢」以外にも、栄養分が豊富で「スーパーフルーツ」と呼ばれるシーベリー、甘さが特徴のフルーツトマトなどを組み合わせ、うまく現在の5haの畑を有効に活用することが目標だ。「現在の農法で安定的に果樹を育て、継続的に出荷していきたい。難しさはあるが、とても重要で喜びがある」と笑顔を見せる。
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