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農に向き合う~農業経営部会会員紹介「帯広・十勝加藤牧場」

乳加工部門 加藤佳恵氏

1.希少なジャージー牛を飼育
 ホルスタインが圧倒的に主流の道内酪農にあって、ジャージー牛に力を入れる。ジャージー牛は、乳量は少ないが脂肪分が高くコクやまろやかな味わいが特長。30年ほど前から、父の賢一さん(全国ジャージー酪農振興協議会会長)が飼い始めた。現在は約120頭を飼育する。

 生乳生産の牧場経営は父と兄が担当し、加藤さんはその良質なミルクを原料とした加工部門を手掛ける。牛乳や飲むヨーグルト、アイスは帯広市内の業者で委託製造し、チーズやバターは自社で作る。業務用を中心に出荷。希少なミルクだけに道内の大手菓子メーカーなどが、こだわりのケーキやソフトクリームの原料として使っている。

2.「長命連産」の飼育法
 「おいしく安全な品質の牛乳を作る。そのために牛を大切に育てていく」。加藤さんは牧場運営に貫かれる理念を語る。有機肥料を多く使う土づくりや自給飼料中心の餌づくりはもちろん、牛の健康を第一に飼育する。牛の負担を考えて生乳を搾り過ぎず、「長命連産」の方針で牛を大事に育てていく。取り引きする業者はこうした考え方に共感し、ホルスタインに比べて単価は高くてもジャージー牛を選んでいく先が多い。加藤さんは「単に牛乳の味や価格面だけでなく、牧場に足を運んで牛の飼い方を見て判断してくれる所がほとんど」と語る。

3.先輩農家の姿勢に影響受ける
 東京から実家の牧場に戻ったのは5年ほど前。酪農現場で働く厳しさや加工の難しさに直面していたときに、支えになったのは同友会の先輩方の言葉や姿だった。会員には全国的にも優れた経営をする畜産農家がいる。「いろいろな話を聞く中で、経営者として、チーズ作りの先輩として純粋に格好良かった」。仕事への取り組み方や経営の面白さに大きな影響を受けた。「十勝農業のレベルを上げるため、良いことは隠さずに共有する」と、同業者に対しても知識や経験を教え合う姿勢にも感動した。もともとは父や兄だけが会員で、活動を懐疑的に見ていた時期もあったが、現在は農業経営部会の幹事として活躍している。

4.格好いい酪農伝えたい
 加工部門は牛乳が中心だが、飲むヨーグルトやバターなど他の加工品も柱に育てるのが今の目標。来年、牧場敷地内に加工工場を新設予定で、委託製造している商品も全て自社で製造できる環境が整う。「おいしいジャージーの牛乳を加工して、さらに付加価値を高めたい」と意気込む。中でもチーズ作りは今後の自由貿易で増えるだろう輸入チーズに対抗できる、差別化した商品作りを追求していく。加工施設には酪農の仕事に触れてもらう機能も持たせる予定。子どもたちに酪農の魅力を伝えたり、同業者とも情報交換できる場を目指す。「やりたいことがどんどん出てくる」と笑顔を見せる。


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