十勝毎日新聞 電子版

Tokachi Mainichi News Web

鹿追百年新聞「目指せ!鹿追初のオリンピアン スピードスケート松井大和」

日本代表のワンピースに身を包み、ワールドカップで世界の強豪と堂々と渡り合う松井大和選手(2019年12月のW杯長野大会)

「北京」へ存在感 「まずは国内、勝てれば五輪でメダル」
 鹿追町出身の松井大和選手(23)=シリウス-日大、鹿追高、鹿追中、鹿追小出=が、スピードスケートで来年2月の北京冬季五輪の出場を狙っている。世界的にもレベルの高い日本短距離陣の中でも、存在感は年々増している。町内初のオリンピアンを目指す松井選手は、メダルをも狙える若手有望株だ。スケートを中学生でやめようと思っていた時期もあったスプリンターは、「500メートルも1000メートルもオリンピックに出たい。まずは(北京五輪の)日本代表に選ばれるために国内で勝つ。日本で勝てれば五輪で確実にメダルを取れる」と意気込む。

 松井選手は3学年上の姉の影響で、小学校入学前にスケートを始めた。小学生では風の子少年団で基礎を学び、中学では十勝中体連スピードスケートクラブに所属。1、2年時は長距離選手だった。「本当に遅かった。練習についていくのがやっと。全国大会にも行けず、面白くなかった」と苦笑いする。

短距離2種目で北京五輪を目指す松井大和選手

短距離への中3転機
 3年生時に現在につながる大きな転機があった。短距離に転向。小柄だった体格も身長が伸びて「やっと人並みになった」。パワーも付いて初出場した2013年の全国中体連は500メートルで9位、1000メートルで10位だった。「中学校でスケートを終わりにして、高校では(夏場にしていた)野球一本に絞ろうと思っていた」が、記録が伸びてスケートが楽しくなった。

 地元の鹿追高に進学。スケート部がなかったため、同じ部活動のない選手たちが集まり、芽室高スケート部と合同練習に。バンクーバー五輪銀メダルの長島圭一郎さんらを指導した野村昌男監督の指導を受けた。家族の支えもあり、帯広市内の明治北海道十勝オーバルに通った。徐々に地力を付け、16年の3年生時にインターハイ500メートルで3位と念願の表彰台に立った。

 スプリンターで名選手を輩出している日大に進学。平昌五輪シーズンの17年、十勝オーバルで行われたジャパンカップを35秒11の好タイムで初優勝。突如、日本代表候補の一人に名乗りを上げた。年末の日本代表選考会では500メートルが10位、1000メートルは9位。「この一戦に照準を合わせてくる社会人選手のすごみを感じた」と振り返る。独特の緊張感も味わった貴重な体験だった。

鹿追高3年時に岩手で行われた国体で力走する松井大和選手(右。2016年1月)

19年W杯3位の成長
 19年に日本スケート連盟の強化選手の中でもトップのナショナルチームに初めて選出され、海外での転戦も経験。オランダでのワールドカップで500メートル3位と初めて表彰台に上がるなど急成長を遂げた。20年2月は高速リンクのカルガリー(カナダ)で34秒24の自己ベストもマーク。充実のシーズンを過ごした。

 昨季はコロナ禍で、日本スケート連盟が海外の大会への選手派遣を見送ったことで、国内のレースに集中。状況を理解する一方で、海外勢と張り合うことを楽しみにしていただけに、「モチベーションも少し低下した。苦しかった」と振り返る。絶好調だった前季と比べ試行錯誤も。「力みがあったり、スケーティングが硬くなったりしていた」。より良い滑りを目指し、フォームのチェックなど自分自身と向き合う時間を多くした。

 今季もナショナルチーム入りし、合宿などで課題を克服しようと汗を流す。「体幹や、太ももの裏のハムストリングスの上の部分などを鍛えている」と力を込める。男子500メートルには日本記録保持者の新濱立也選手(高崎健大職)、国内最高記録を持つ村上右磨選手(高堂建設)と強い選手がいる。「自分は3番手ぐらい。簡単に追い付ける相手ではないが、常にあの2人に勝つことを意識してやっている」と前を見据える。

<まつい・やまと>
 1997年11月、鹿追町生まれ。全国中体連500メートルで9位、1000メートル10位。インターハイは500メートルで3位に入った。初めてナショナルチーム入りした2019-20年シーズンは、全日本選手権スプリント部門を初制覇。ワールドカップのヘーレンフェイン大会(オランダ)の500メートルで3位。世界大学選手権の500メートルと1000メートルで優勝を果たした。20年3月に日大を卒業。現在は岩手県内の住宅メーカー、シリウスに所属している。自己ベストは500メートルが34秒24(カナダ・カルガリー)、1000メートルは1分7秒59(米国・ソルトレークシティー)。趣味はギター演奏。

更新情報

スカイアース城統括GMと長野監督、進退を懸ける今季へ決意を表明「覚悟を持って臨む」

紙面イメージ

紙面イメージ

4.26(金)の紙面

ダウンロード一括(83MB) WEBビューア新機能・操作性UP

日別記事一覧

前の月 2024年4月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

十勝の市町村

Facebookページ

記事アクセスランキング

  • 昨日
  • 週間
  • 月間

十勝毎日新聞電子版HOME