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令和3年に注意を要す令和3年に注意を要する病害虫る病害虫

道総研 中央農業試験場 病虫部 予察診断グループ・病害虫グループ
道総研 十勝農業試験場 研究部 生産技術グループ
道総研 上川農業試験場 研究部 生産技術グループ
道総研 道南農業試験場 研究部 作物病虫グループ
道総研 北見農業試験場 研究部 生産技術グループ
道総研 花 ・ 野菜技術センター 研究部 生産技術グループ

1.成果の概要
 北海道病害虫防除所、道総研各農業試験場および道農政部技術普及課等で実施した病害虫発生予察事業ならびに試験研究で得られた結果から、令和3年に特に注意すべき病害虫について報告する。

2.令和2年の病害虫の発生状況

 令和2年度は春季が高温に経過したため、小麦の赤さび病の発生がやや多かった。ネギアザミウマは、夏季が高温に経過したことから多発し、キャベツ等の葉菜類でも被害が認められた。8月の高温により水稲の紋枯病が多発した。りんごの黒星病は、5~6月の重点防除時期および8月にまとまった降雨があり、やや発生が多くなった。
 主要病害虫のうち、令和2年に多発となったものを表1に示した。

3.令和3年に特に注意を要する病害虫
(1)水稲のヒメトビウンカ
 水稲のヒメトビウンカは、イネ縞葉枯病を媒介する重要害虫である。令和2年の発生量は平年並であったが、近年多発傾向が続いている地域では発生が多くなった。本年8月以降に発生が多かった地域では越冬幼虫が多い可能性があるため、発生状況に注意する必要がある。縞葉枯病発生地域では、ヒメトビウンカに有効な薬剤を使用する。

(2)とうもろこしのツマジロクサヨトウ
 ツマジロクサヨトウは、令和2年8月に道内で初めて成虫の誘殺が確認され、その後、とうもろこし圃場で幼虫による食害が確認された。本種は低温に弱く、道内では越冬できないと考えられるが、次年度以降も北海道へ飛来する可能性がある。早期に飛来した場合には、大きな被害となる危険性があるので注意が必要である。
 本種の被害が疑われる場合は農業改良普及センターや農業試験場、病害虫防除所に連絡していただきたい。防除時期が遅れると防除効果が得にくくなると考えられるため、早めに薬剤防除を実施することが重要である。

(3)野菜類のネギアザミウマ
 令和2年は夏季高温に経過したため、少雨に経過した地域ではたまねぎおよびねぎで発生が多くなった。また、たまねぎで多発した地域では8~9月どりの作型のキャベツで結球部被害が多発し、大きな被害となった圃場もあった。
 本種に対する薬剤防除は、防除開始時期を逸しないこと、効果の高い薬剤を使用すること、防除間隔が開かないようにすることが重要である。ねぎでは圃場外からの飛び込みが多くなる7月下旬から8月下旬頃は、7日間隔で効果が高い薬剤を使用する。結球部被害が問題となる8~9月どりのキャベツでは、定植前に効果の高い薬剤を灌注し、定植3週後からは効果の高い薬剤で収穫期まで防除を実施する必要がある。

(4)うり科野菜の土壌伝染性病害
 令和2年、道内ではじめてホモプシス根腐病の発生がメロンおよびきゅうりで確認された。また、メロン黒点根腐病の発生地域が拡大していることが明らかとなった。両病害ともに着果負担がかかる頃や収穫が本格化する頃になると急激に株全体が萎れることが特徴で、灌水不足や生理障害などと誤解され、被害が拡大している場合がある。発生を拡大させないためには早期に発見することが重要である。両病害とも毛細根に特徴的な症状を示すので、栽培終了後に毛細根が脱落しないように根を丁寧に掘りとり、発生の有無を確認することが必要である。

(5)りんごの腐らん病
 腐らん病は、りんごの最重要病害で、胴枯れ、枝枯れ症状を引き起こす。発病部位を物理的に取り除き、園外で処分することと、樹勢を維持して病気に罹りづらい樹を育てることが重要である。

4.令和2年に新たに発生を認めた病害虫
 令和2年に道内で新たに発生を認めた病害虫は24(病害13、害虫11)であった。その一部を抜粋して紹介する。

(1)小麦のタテスジケンモン(新寄主)
 秋まき小麦圃場で葉を縁から食害していた。令和元年以前は道東の飼料用イネ科草地で局所的な被害事例が散見されていたが、令和2年は十勝地方のチモシー草地でも広範囲に発生が確認された。

(2)キャベツのヒメダイコンバエ(新寄主)
 結球下部を筋状に食害する。食害は結球内部まで及び、その付近の葉が腐敗する。本種の発生は、これまで冷涼な地域に限られていたが、近年、分布域を拡大している可能性がある。




【補足】
「特に注意を要する病害虫」および「新発生病害虫」の詳細な情報については、北海道病害虫防除所のホームページに掲載しているで、そちらもご覧いただきたい。

詳しい内容については、次にお問い合わせください。
道総研十勝農業試験場 生産技術グループ
電話(0155)62-2431
E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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