ぶらり探訪「伊福部記念ジュニアオケが『北海道フェス』」
音楽の絆 コロナ禍で固く
音更は、日本を代表する作曲家伊福部昭氏(1914~2006年)を育んだ「音楽のまち」でもある。町内では4年前、町伊福部昭記念ジュニアオーケストラ(泉大樹団長、22人)が立ち上がり、音楽を継承していこうと活動している。今年は開町120周年と伊福部氏没後15年の年。これに合わせて「北海道少年少女オーケストラフェスティバルin音更」が、7日に開かれると聞き会場を訪れ、全道の子どもたちが奏でる、さまざまな思いが込められた演奏を堪能した。
きょうが命日
伊福部昭記念ジュニアオケは、町内の小学1年生から高校2年生までが所属している。昨年はコロナ禍の影響で、人前で演奏する機会に恵まれなかったが、昨冬、6人が新たにメンバー入りし、全員が「音楽で音更の町を明るくしたい」を合言葉に一丸となった。
同フェスは伊福部氏の命日(2月8日)にちなんで企画された。同ジュニアオーケストラを中心に、道内各地のジュニアオーケストラや奏者らが集結。コロナ禍の中で、音楽により固い絆で結ばれた参加者は約150人に上った。
この中には道内に数少ない高校のオーケストラの一つ、音更高校管弦楽局も参加。合同演奏などで伊福部昭記念ジュニアオーケストラとも絆を深め、音楽活動に励んでいる。同ジュニアオーケストラの泉団長(45)は「支えてくれた多くの方々への感謝、仲間たちとの絆などの思いをもって演奏したい」と本番に臨んだ。
勇気づけたい
泉団長の長男優太郎さん(14)=音更中2年=は「コロナ禍で大変だけど、演奏で来場してくれた人たちを勇気づけられたら」とバイオリン奏者の一人としてステージに立った。同フェス前日に泉団長は、自身が18歳の頃から大切にしている“マイバイオリン”を息子に託した。優太郎さんは親子の絆を感じながら晴れ舞台で父親のバイオリンを弾いた。
同フェスは2部構成で約2時間のステージ。第1部は映画音楽などのポピュラー音楽を中心に披露。第2部は伊福部氏が手掛けた音楽を演奏した。
最後は、アンコールに応えて、出演者全員で伊福部氏作曲の音更町歌を響かせて、“音楽のまち音更”をアピールした。
観客席の小野信次町長(72)は「伊福部昭先生が音楽の聖地とした音更町で、没後15年の命日にちなんで素晴らしい演奏会が行われたことを町民の一人として本当にうれしく思う。奏者の皆さんには心からありがとうと言いたい」と出演者らをたたえた。(内形勝也)
<伊福部昭(いふくべあきら)>
日本の作曲家。釧路町(釧路市の前身)生まれ。小学生の時に父利三氏が音更村の村長となったことを機に移住。青春時代を音更で過ごし、アイヌ民族と関わり、その生活、文化に影響を受けた。「ゴジラ」をはじめとする映画音楽のほか、代表作の一つ「シンフォニア・タプカーラ」は、アイヌの人々への共感と郷愁から書いた交響曲とされている。